貧血とは?
貧血とは、簡単にいうと、血液中のヘモグロビン濃度が減少している病態のことです。
WHO基準の定義では、成人男子13g/dl未満、成人女子や小児12g/dl未満、高齢者では男女とも11g/dl未満となっています。
成人男子 | Hb 13g/dl未満 |
成人女子や小児 | Hb 12g/dl未満 |
高齢者 | Hb 11g/dl未満 |
貧血の症状
赤血球は酸素を運搬する役割を担っているので、貧血になると、全身に症状が現れる。
貧血の症状
・顔面蒼白
・起立性低血圧
・頭痛
・めまい
・易疲労感
・倦怠感
・動悸
・息切れ
なぜこれらの症状が起こるか?
貧血の身体所見の見方(代表的なもの)
貧血の身体所見としては、眼瞼結膜蒼白がみられます。
貧血の見方としては、眼瞼結膜と前側と後ろ側を比較し、以下の写真(C)のように、前側の縁が赤く、後ろ側の縁が白い状態が正常。
写真(a)のように、前側、後ろ側ともに白くなっている状態が貧血。
と考えることで貧血を判断することができます。
単純に、白いと貧血を覚えていては、写真(a)の状態を貧血と判断することはできないので必ず覚えておきましょう。
引用:Anemia iDX | Follow our journey as we create a diagnostic tool for anemia using eye imaging
参考サイト:眼瞼結膜の貧血の見方
貧血の原因
大きく分けると、貧血の原因は2つです。
赤血球の消費が亢進するものと、赤血球の産生が低下するものになります。
・赤血球の消費亢進(破壊や出血)
・赤血球産生の低下
貧血を鑑別するための血液検査項目は?
貧血を鑑別するために、まず行う検査は血液検査。
オーダーとして、以下の検査項目を出す。
血算一式(網状赤血球数の絶対値を含む)、血清鉄、フェリチン、TIBC、B12、葉酸、ハプトグロビン、LDH、間接ビリルビン、CRP、肝臓・腎臓検査項目。
血算一式
・白血球
・赤血球
・ヘモグロビン
→赤血球の中にあるタンパク質で、酸素と結合し酸素を運搬する役割をもつ
・ヘマトクリット
→血液中における赤血球の体積の割合
・血小板
→血管壁が損傷すると、凝集して傷口をふさぎ、止血する
・平均赤血球容積(MCV:Mean Corpuscular Volume)
・平均赤血球色素量(MCH:mean corpuscular hemoglobin)
・平均赤血球色素濃度(MCHC:mean corpuscular hemoglobin concentration)
・網状赤血球数(RET:reticulocyte count)
→幼若な赤血球のこと。骨髄での赤血球産生の指標となる。
・白血球分画
鉄欠乏性貧血鑑別
・血清フェリチン
→貯蔵鉄の量を反映して増減する。
・総鉄結合能(TIBC:total iron‐binding capacity)
→血清中の全トランスフェリンと結合できる鉄の総量を表す
・血清鉄
→血清中に存在する鉄の量を表す
トランスフェリン
鉄イオンと結合し、輸送する働きをもつタンパク質。肝臓で主に合成される
巨赤芽球性貧血鑑別
・葉酸
→葉酸が不足すると、DNA生合成に支障が起こる。その結果、赤血球障害、悪性貧血となる
・ビタミンB12
→葉酸の再生産に利用されているので、不足すると、葉酸不足と同じ症状が起こる
その他
・間接ビリルビン
・LDH
・ハプトグロビン
→溶血などで遊離したヘモグロビンを回収する
・CRP
貧血の鑑別アルゴリズム
貧血の鑑別では、網状赤血球数(絶対値)とMCV(平均赤血球容積)が重要である。
疾患の頻度としては、小球性貧血では、鉄欠乏性貧血の頻度が圧倒的に多い。
また、大球性貧血でMCV>120と著明であれば、巨赤芽球性貧血をまず考えるとよい。
ポイント
網状赤血球の増加が見られた場合は、骨髄は貧血に対して正常に機能していると考えられるので、骨髄自体に異常はないと考えられる。
そのため、貧血状態で、網状赤血球の増加がある場合は、赤血球の消費亢進、つまり溶血や出血などが原因となっていないかを疑うのがポイントである。
以下、貧血の鑑別のためのアルゴリズムをまとめた。
貧血の鑑別アルゴリズム
貧血の鑑別では、まず赤血球以外の血球、つまり白血球と血小板に異常がないかを見る。
赤血球以外の血球に異常があれば骨髄の造血機能に異常があると考えられる。
また、肝疾患や脾機能亢進症も疑われる。
肝臓はさまざまなタンパク合成を行っているので、血球に必要なタンパク合成も低下するからだと考えられる。
ちなみに、肝硬変では汎血球減少がみられるが、血小板減少の機序は、骨髄における血小板生成障害と血小板寿命の短縮によるものである。血小板寿命の短縮の機序は、血小板膜のシアロ糖タンパクの減少によって、血小板が貧食されやすくなるから。
次に、網状赤血球数の絶対値が10万/μl以上である場合は、溶血や貧血を疑う。
溶血の所見として、間接ビリルビン高値、LDH高値、ハプトグロビン低値、ヘモジデリン尿が見られたら溶血疑い。
溶血の所見がない場合は、直腸診、上部消化管内視鏡、便潜血などで出血源を調べる。
網状赤血球数の絶対値が10万/μl未満の場合は、平均赤血球容積(MCV)から大球性貧血、正球性貧血、小球性貧血のどれかに分類する。
MCV≦80 | 81~100 | 101≦MCV |
小球性貧血 | 正球性貧血 | 大球性貧血 |
次は、分類ごとに、さらにアルゴリズムに従って、鑑別をしていく。
ちなみに、MCVで分類した後も、いずれの分類でも網状赤血球の増加があれば、溶血か出血を疑うことになる。
大球性貧血の鑑別
MCVが101以上なら大球性貧血となる。
まず、ビタミンB12と葉酸の低下がみられれば、巨赤芽球性貧血を疑う。
ビタミンB12と葉酸の低下がみられない場合は、非巨赤芽球性貧血と考える。
その場合は、網状赤血球の増加があれば、溶血や出血を疑う。
網状赤血球の増加がなければ、アルコール中毒、肝疾患、甲状腺機能低下症、薬剤などの原因を疑い、これらの疾患が否定できれば、骨髄障害の可能性が高い。
よって、骨髄穿刺により骨髄検査を行う。
正球性貧血の鑑別
小球性貧血の鑑別
小球性貧血で網状赤血球数が増加していない場合は、赤血球の産生が低下していると考えられる。
小球性貧血では、鉄欠乏性貧血の頻度が圧倒的に多いので、まずは鉄欠乏性貧血を鑑別するために、血清鉄、フェリチン、総鉄結合能TIBCを調べる。
血清鉄低値、フェリチン低値、TIBC高値なら鉄欠乏性貧血となる。
その他の鑑別は上の表の通り。
TIBC
トランスフェリンの量を反映する。鉄が欠乏すると、トランスフェリンが大量産生され、TIBCは増加する。
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