輸液の種類ごとの細胞への分布
輸液の種類 | 分布 |
生理食塩水 | 全量が細胞外液 |
5%ブドウ糖液 | 細胞外液:細胞内液=1:2に分布 |
1/2生理食塩水(生理食塩水と5%ブドウ糖液を1:1で混ぜたもの) | 生食は全量が細胞外液。ブドウ糖液は細胞外液:細胞内液=1:2に分布 。 |
輸液で覚えることまとめ
作用 | 種類 | |
等張電解質輸液 | 細胞外液量を増加 | 0.9%生理食塩水 リンゲル液 乳酸リンゲル液 |
低張電解質輸液 | 細胞内液と細胞外液を増加 | 1号液(開始液) 2号液(脱水補給液) 3号液(維持液) 4号液(術後回復液) |
等張電解質輸液は、0.9%生理食塩水、リンゲル液、乳酸リンゲル液の3つと覚える。
NaCl1gは何mEqか?
NaCl 1g=17mEq
生理食塩水0.9%の組成は、Na154、Cl154である。
これは1L中にNaClが17mEq×9g=153mEq入っているということから計算できる。
輸液の組成
Na | K | Cl | P | 乳酸 | ブドウ糖 | |
0.9%生理食塩水 | 154 | 0 | 154 | 0 | 0 | |
リンゲル液 | 147 | 4 | 155.5 | 0 | 0 | |
乳酸リンゲル液 | 130 | 4 | 109 | 28 | 0 | |
1号液 | 90 | 70 | 20 | 2.6% | ||
2号液 | 84 | 20 | 66 | 10 | 28 | 3.2% |
3号液 | 35 | 20 | 35 | 20 | 4.3% | |
4号液 | 30 | 20 | 10 | 4.3% |
生食とリンゲル、乳酸リンゲルは蘇生を覚える。
1〜4号液はどんどんNaが薄くなっていく。
Kが入っているのは2号液と3号液だけと覚える。
2号と3号はKが20mEq入っていることも重要!
1〜4号液はラクテートあり。
乳酸リンゲル液はリンゲル液に乳酸を加えたもの。
なので、リンゲル液は乳酸が0と考える。
出典:https://ameblo.jp/erikki-chann/entry-11298200901.html
出典:http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/kid/resident/clinicallecture5.html
ざっくりと説明すると、0.9%生理食塩水や乳酸リンゲル液を5%ブドウ糖液で希釈して作ったのが、1〜4号液。
組成 | Kの含有 | 用途 | |
1号液 | 1:1で混合 | なし | 腎不全が疑われる時などに使用。とりあえず使える。(開始液) |
2号液 | 1号液にK添加 | あり | 尿が出ている場合に排出されるKを補うために使用。 |
3号液 | 1:3で混合 | あり | 一定のペース(1日2L)で尿が出ていれば3号液点滴により一定の電解質を体内で維持可能。(維持液) |
4号液 | 3号液からK除去 | なし | Kが含まれていないので腎不全や乳幼児で用いられやすい。 |
1:1で混合したものが1号液で、Kを含まない。
1号液にKを添加したものが2号液。
1:3で混合したものが3号液で、Kを含む。
4号液は、3号液からKを除いたもの。
輸液製剤の適応
脱水は、水分欠乏型脱水(高張性脱水)とNa欠乏型脱水(等張性脱水、低張性脱水)に大きく分けられる。
また、臨床では、水分とナトリウムの両方が欠乏した混合性脱水がよく見られる。
水分欠乏型脱水では、細胞外液だけでなく、細胞内液を含む体全体から水分が失われる。
なので、細胞内まで水分を補給できる3号液などの維持液類や5%ブドウ糖液などが投与される。
Na欠乏型脱水では、細胞外液のNaなどの電解質が失われ、細胞外の浸透圧が低下する。
それにより、細胞外液の水分が浸透圧の高い細胞内へ流入する。
この場合には、細胞外液に電解質を補うため、生食、リンゲル液、乳酸リンゲル液を投与する。
輸液製剤 | 適応 |
1号液 | 病態不明の緊急時、小児の嘔吐・下痢 |
3号液 | 経口摂取ができない患者の水分・電解質維持 |
体液の2つ存在部位は?
・細胞内液
・細胞外液(組織間液、血漿)
等張電解質輸液と低張電解質輸液の違い
輸液には、等張電解質輸液と低張電解質輸液がある。
等張電解質輸液とは?
電解質濃度が血漿とほぼ等しい
低張電解質輸液とは?
電解質濃度が血漿よりも低い
出典:https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/electrolytes/
等張電解質輸液は、浸透圧が体液とほぼ同じなので、細胞内へは移行せず、細胞外に分布する。
細胞外液量を増加させることから、細胞外液補充液と言われる。
生理食塩水、リンゲル液、乳酸リンゲル液がある。
Na | K | Cl | Lactate(乳酸) | ブドウ糖 | |
乳酸リンゲル | 130 | 4 | 109 | 28 | 0 |
出典:https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/electrolytes/
低張電解質輸液は、体液より浸透圧が低い液を輸液したことになるため、細胞内にも移行する。
体全体に水分を補給できる。
等張電解質輸液
電解質の浸透圧が体液とほぼ同じであるので、投与した輸液は細胞内へは移動せず、細胞外に分布して細胞外液量を増やす
血管内や組織間に水分・電解質を補給できる輸液と言える。
ゆえに、ショックなどで循環血液量を増やしたいときに有効。
例:生理食塩液、リンゲル液、乳酸(酢酸・重炭酸)、※リンゲル液
※リンゲル (1835~1910) が,カエルなどの心臓などを,長く正常に近い状態で保存するために使用したことから
低張電解質輸液
・体液より電解質濃度が低い輸液
・ブドウ糖を配合して浸透圧を等張にしている
・ブドウ糖は代謝されると水になるので、結果的には体液より浸透圧の低い液を投与したことになる
・組織間液・細胞内液などの体全体に水分を補給することが可能
・1~4号液のような維持液類がある
a等張電解質輸液
b2号液
c3号液
d3号液
1〜4号液をどういうときに使うかまとめる
参考
https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/electrolytes/
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