癌(がん)

臓器別の癌(がん)の治療まとめ

癌の治療は臓器によって、かなり異なる。

しかも、分類の仕方も治療法も全然違う。

だから、複雑で嫌になるが覚えなくてはいけない。

癌の治療で重要なのは、まず治療法のための分類を覚えること。

肺癌なら、小細胞癌かそれ以外で分かれて、治療法が異なる。

膀胱腫瘍なら、上皮内癌、非筋層浸潤、筋層浸潤、遠隔転移あり・手術不能と分かれて、それぞれ、治療法が異なる。

癌の種類によって、この分類が違うので、まずはこの分類を理解し、覚える必要がある。

このような、治療のための分類を覚えてから、それぞれに対する治療を覚えることを意識してまとめると見通しが良い。

臓器別の癌(がん)の治療まとめ

放射線の有効な癌6つ

癌の治療で放射線が有効かを知っておくと治療法が覚えやすくなるので絶対に覚えておくべき。

化学療法と放射線化学療法で迷った時は組織型から考えるといいかも。

具体的には?考え方
血液系の疾患悪性リンパ腫
白血病
白血球やリンパ球は放射線に弱い。それが腫瘍化したものも放射線がよく効くと考える
セミノーマ精上皮だから
〜芽(細胞)腫髄芽腫
網膜芽細胞腫
神経芽腫
腎芽細胞腫(Wilms腫瘍)
※神経膠芽腫以外は感受性高い
通常未分化な腫瘍を意味するから
未分化癌
扁平上皮癌
大まかには、感受性は、未分化癌>扁平上皮癌>腺癌と考える
肺小細胞がん
子宮頚癌
咽頭癌
喉頭癌

十二指腸乳頭部癌

まず内視鏡的胆道ドレナージで減黄する

切除可能:膵頭十二指腸切除術

切除不能:化学療法

咽頭癌、喉頭がん

早期(Ⅰ〜Ⅱ)進行(Ⅲ〜Ⅳ)
上咽頭癌化学放射線療法
:解剖学的に手術はできない
化学放射線療法
中咽頭癌放射線療法
化学放射線療法
手術
下咽頭癌経口腔的切除
放射線療法
手術
化学放射線療法
喉頭癌放射線療法喉頭全摘出術

※ざっくりとまとめた

咽頭や喉頭がんは早期ならすべて放射線で治療が可能。

上咽頭癌は解剖学的手術はできないが、中、下は手術も行う。

喉頭癌は、早期なら放射線、進行なら喉頭全摘出術。

精巣腫瘍

精巣腫瘍の治療はかなり特殊である。

通常は組織型を定めてから治療方針を決定するが、精巣腫瘍では疑いとなれば、高位精巣摘除術により精巣を摘除することで組織型を決定してから治療方針を決定する。

これは、精巣腫瘍では針生検をすると播種をきたしやすくなるので禁忌だから。

また、転移があっても高位精巣摘除術を行うのが、結腸癌と同じで他の癌とは違う。

無痛性陰嚢腫大

超音波などで精巣腫瘍疑い

高位精巣摘除術

病理組織診断によりセミノーマか非セミノーマを判断

治療方針決定

病期 治療
ステージⅠ転移なし高位精巣摘除術の後は腫瘍マーカー(AFP、hCG、LD)による経過観察
もしくは、
セミノーマ(精上皮腫)→放射線療法(セミノーマは上皮なので放射線感受性が高いと考える)

非セミノーマ(非精上皮腫)→化学療法
ステージⅡ横隔膜より下のリンパ節に転移セミノーマ:化学療法+放射線療法
非セミノーマ:化学療法+後腹膜リンパ節郭清
※転移なので化学療法プラスαと考える
ステージⅢ遠隔転移化学療法
(必要があれば、転移巣の切除)

ちなみに、高位とは、精巣腫瘍の転移を事前に防ぐために、精巣よりも高い位置にある鼠径管のレベルで結紮して血流を遮断しておいて、精巣と精索をひとつの塊として摘出するから。

セミノーマは精上皮腫なので、放射線が有効と考える。

原発性肺癌

肺癌の治療は、小細胞癌かそれ以外の非小細胞癌かという組織型、全身状態(PS)、遺伝子変異、病期、年齢などによって決まる。

非小細胞肺癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)

早期(ⅠA)リンパ節転移なし
腫瘍最大径3cm以下
手術:肺葉切除+リンパ節郭清
進行
ⅡBまで:手術可能
ⅢA、ⅢB:手術不可能
手術可能手術
化学療法
手術不可能化学療法
放射線療法:放射線はあまり効かなそうなのに?
Ⅳ期 化学療法
その他 PD-L1陽性腫瘍細胞率50%以上:ペムブロリズマブ

ⅢBやⅣ期でEGFR+:EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィニチブ)
ALK遺伝子転座+:ALKチロシンキナーゼ阻害薬

早期なら手術で根治が可能。

進行例では、手術が可能なら手術と化学療法。

手術不可能なら、化学療法と放射線療法。

4期は化学療法のみ。

小細胞肺癌

限局型と進展型に分ける。

限局型腫瘍が一側胸郭内
同側肺門リンパ節
両側縦隔リンパ節
両側鎖骨上窩リンパ節
までに限局している
Ⅰ期のみ:手術
Ⅰ期以外の限局型:
化学療法

放射線療法
※非小細胞癌の手術不能と同じ
※非小細胞癌の進行で手術可能の部分がないと考える
進展型:
Ⅳ期に相当すると考える
限局型の範囲を超えて進展
例:対側の肺門リンパ節に転移
化学療法のみ

※Ⅰ期のみ手術が可能

限局型なら、治療の中心は化学療法と放射線療法。

進展型なら化学療法のみ。

Ⅰ期のみ手術が可能。

婦人科

婦人科の癌は術式まで出るのでまとめる!

卵巣癌

基本術式:両側付属器摘出術(卵巣・卵管)+子宮全摘出術+大網切除術

腹水細胞診や後腹膜リンパ節の生検を術中に行うことで、進行期の確定と腫瘍減量を行う。

子宮頸癌(扁平上皮癌)

扁平上皮癌と腺癌で異なる。

まずは扁平上皮癌を覚える。

最初にステージの分類を覚えてざっくりとステージごとの治療を覚える。

病期浸潤の程度治療
異形成(子宮頸部上皮内腫瘍)コルポスコピーで:
白色上皮
モザイク
赤点斑
Ⅰ期子宮頚部に限定手術
Ⅱ期子宮頚部を超えて腟壁に達する(骨盤壁には達していない) 手術
Ⅲ期浸潤が骨盤壁まで達する
or明らかな水腎症、無機能腎あり
※閉塞があれば無尿となるので静脈性尿路造影で造影されない?
同時化学放射線療法
(シスプラチン+30Gyの腔内照射)
Ⅳ期周囲臓器(膀胱や直腸粘膜)へ浸潤あり同時化学放射線療法
(シスプラチン+30Gyの腔内照射)

※貧血があれば組織が低酸素となるので、放射線の感受性が低下する。なので、貧血があれば輸血も考慮する?


出典:http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10
上皮内癌とⅠ〜ⅳ期にわかれると覚える。
Ⅰは子宮頚部に限定、Ⅱは頚部を超えている。
Ⅲは骨盤壁まで浸潤。
ⅳは周囲の臓器まで浸潤と考える。

上皮内癌:子宮頸部円錐切除術

手術:Ⅱ期まで

放射線化学療法:ⅠB~ⅣA期まで(ⅠAとⅣBは除く)

病期 治療覚え方
CIN3
ⅠA1期
拳児希望+円錐切除術
CIN3
ⅠA1期
拳児希望ー単純子宮全摘出術 
ⅠA2期 準広汎子宮全摘出術
(+骨盤リンパ節郭清)
 
ⅠB〜ⅡB期 広汎子宮全摘出術+同時化学放射線療法(CCRT)子宮頚癌=膣上皮から発生と考え、扁平上皮癌発生。
なので、放射線が有効と考える。



ⅳ期
 同時化学放射線療法(CCRT:Concurrent Chemoradiotherapy)

ざっくりまとめるとこんな感じ。覚えやすいように少し省略。

CIN3、ⅠA1期は拳児希望あり、なしでわかれる。

拳児希望ありなら、円錐切除術。

拳児希望なしなら単純子宮全摘出術。

ステージが進むにつれて、準広汎子宮全摘出術→広汎子宮全摘出術と切除範囲を広げていく。

Ⅲ、ⅳは化学放射線療法のみ。

血液

成人T細胞白血病(ATL)

型によって治療がわかれる。

また、高Ca血症を伴うので、高Ca血症に対する治療も行う。

急性型:多剤併用化学療法

慢性型:無症状なら経過観察のみ

高Ca血症:ビスホスホネート、生食輸液+ループ利尿薬

 

消化器

分類 治療
胃癌早期胃癌粘膜下層までにとどまる内視鏡的治療:
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
外科的治療:
胃切除+リンパ節郭清
術式:
噴門に近い→噴門側胃切除術
噴門から遠い→幽門側胃切除術
広範に広がっている→胃全摘術
※名前通りで考えればわかる
切除可能な進行胃癌胃切除+リンパ節郭清
術後化学療法
※進行胃癌は術後化学療法が必要になる
術式:
噴門側に病変→胃全摘術
幽門側に病変→幽門側胃切除術
切除不可能な進行胃癌化学療法
(緩和療法)
食道癌早期癌原発巣の壁深達度が粘膜内にとどまる食道癌でリンパ節転移の有無を問わないもの内視鏡的治療:
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
切除可能な進行癌外科的治療(食道切除+リンパ節郭清+食道再建
化学放射線療法
※食道癌は基本胃癌の治療+放射線
切除不可能な進行癌(他臓器への浸潤や遠隔転移あり)化学療法
放射線療法
※食道癌は基本胃癌の治療+放射線
膵癌門脈系や動脈系へ浸潤ー治療:
切除可能
門脈系や動脈系へ浸潤ー:
切除可能
膵頭部癌→膵頭十二指腸切除術
膵体尾部癌→膵体尾部・脾合併切除
膵全体に浸潤→膵全摘術
+術後化学療法
門脈系や動脈系へ浸潤+治療:
局所進行切除不能例
門脈系や動脈系へ浸潤+:
化学放射線療法
遠隔転移?治療:
切除不能
化学療法
大腸癌ステージ0~Ⅲ(早期癌もしくは遠隔転移の無い進行癌):基本:原発巣切除とリンパ節郭清
ステージⅣ(遠隔転移あり): 原発巣や転移巣が切除可能:手術
例:局所再発なく肺に限局した転移で完全切除可能→手術


原発巣や転移巣が切除不可能:化学療法
例:肝臓の両葉に多発転移→切除不能→化学療法
大腸癌は遠隔転移でも切除が可能なら手術が可能!
肝細胞癌肝予備能
チャイルドピューCの場合:
肝移植のみ
チャイルドピューA、Bの場合:
数や大きさにより適応を考える肝障害度、腫瘍数、腫瘍径などにより治療方針を決める。1)まず、手術やラジオ波焼灼療法が使えるかを考える。
手術適応:
腫瘍数3個以下(大きさは関係なし)
ラジオ波焼灼療法適応:
腫瘍数3個以下で腫瘍径3cm以内2)上記の治療が困難なら、肝動脈化学塞栓療法(TACE)。
3)肝移植は原則65歳以下、肝障害Cでミラノ基準を満たす場合その他化学療法もあり、肝外転移があれば分子標的治療や全身化学療法となる・肝動注化学療法
・分子標的治療
・全身化学療法
ミラノ基準:
遠隔転移やリンパ節転移、脈管浸潤なし
単発なら5cm以下
多発なら3個以内かつ最大腫瘍径3cm以下

胃癌

内視鏡、超音波内視鏡、CT、消化管造影などの検査により、深達度や転移の有無を調べ、全身状態も考慮して治療方針を決定する。

早期癌と進行癌、切除可能と不能に分けて考える。

分類治療法
早期胃癌内視鏡的治療:
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
外科的治療:
胃切除+リンパ節郭清
切除可能な進行胃癌胃切除+リンパ節郭清
術後化学療法
切除不可能な進行胃癌化学療法
緩和療法

早期胃癌は、粘膜下層までにとどまるもの。

なので、治療は、EMRやESD。

開腹手術も行うことがある。

進行胃がんは切除可能と不能で考える。

可能なら、胃切除+リンパ節郭清+術後化学療法。

不能なら、化学療法のみ。

術式は、幽門側なら幽門側胃切除術。

噴門側なら胃全摘術。

部分切除はGISTの術式なので注意する。

食道癌

上部消化管内視鏡、超音波内視鏡、食道造影、CT、PET/CTなどの検査により深達度や転移の有無を調べ、全身状態を考慮し、治療方針を決定する。

早期癌かそうでないか、切除可能かそうでないかで治療方針が異なる。

分類治療法
早期癌内視鏡的治療:
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
切除可能な進行癌外科的治療(食道切除+リンパ節郭清+食道再建)
化学放射線療法
切除不可能な進行癌(他臓器への浸潤や遠隔転移あり)化学療法
放射線療法

早期食道癌の定義は、「原発巣の壁深達度が粘膜内にとどまる食道癌でリンパ節転移の有無を問わないもの」なので、内視鏡で粘膜や粘膜下層まで切除すれば良い。

進行癌なら切除可能と切除不可能に分類する。

他臓器への浸潤や遠隔転移があれば、取り切れないので、切除不能と考える。

切除可能なら切除し、取り残しによる再発を防ぐために化学放射線療法も併用すると考える。

切除不可能なら、化学療法と放射線療法しかない。

食道癌は基本的に、胃癌の治療+放射線と覚える。

扁平上皮癌なので、放射線感受性が高いため、放射線療法を加えると考える。

膵癌

膵頭部癌、膵体尾部癌で治療は異なる

膵頭部癌

切除可能:減黄後、手術(膵頭十二指腸切除)+術後化学療法

局所進行切除不能例:化学放射線療法

切除不能:化学療法

膵体尾部癌

切除可能:手術(脾合併膵体尾部切除術)+術後化学療法

局所進行切除不能例:化学放射線療法

切除不能:化学療法

膵癌は腹腔動脈や上腸間膜動脈などの周囲の血管に浸潤していなくて、切除可能なら手術と化学療法。

切除不可能なら、化学療法と考える。

化学療法はPSなどの全身状態が良好でないと行えないという前提も重要。

膵癌では、切除可能でも術後化学療法を行う。

これは、膵癌は周りの組織の間をパラパラと広がるように浸潤するため、手術できれいに取り切るのが難しいからだと考える。

また、切除可能、不可能どちらにおいても化学療法が必要だと考えると覚えやすい。

大腸癌

内視鏡、下部消化管造影(注腸造影)、超音波内視鏡、CTなどにより深達度や転移の有無を調べ、全身状態を考慮して治療方針を決める

ステージ0~Ⅲ(早期癌もしくは遠隔転移の無い進行癌):

基本:原発巣切除とリンパ節郭清

ステージⅣ(遠隔転移あり):

原発巣や転移巣が切除可能の場合:手術
原発巣や転移巣が切除不可能の場合:化学療法

大腸癌は遠隔転移でも切除が可能なら手術が可能と覚える。

肝細胞癌の治療


出典:https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html

まず、肝予備能がチャイルドピューABではない場合は、肝移植しかない。

チャイルドピューABなら、数、大きさなどにより治療はわかれる。

以下、ポイントをまとめる。

肝障害度、腫瘍数、腫瘍径などにより治療方針を決める。

1)まず、手術やラジオ波焼灼療法が使えるかを考える。

治療法適応
手術腫瘍数3個以下
ラジオ波焼灼療法腫瘍数3個以下で腫瘍径3cm以内

手術やラジオ波焼灼療法は、肝臓を破壊するので、腫瘍数が3個以下と少ない場合でないと行えないと考える。

ラジオ波焼灼療法とは、針を腫瘍の中心に挿入し、電流を通電させ、針の周囲に熱を発生させることで腫瘍を壊死させる方法。

なので、腫瘍径3cm以内と小さいものにしか行えないと考える。

2)上記の治療が困難なら、肝動脈化学塞栓療法(TACE)。

肝動脈化学塞栓療法とは、肝臓内の腫瘍を栄養する細い動脈までカテーテルを進め、抗癌剤などを入れることで、動脈の血流を遮断し、腫瘍細胞を壊死させる。

肝動脈に化学療法で塞栓を作る治療と考えると覚えやすい。

3)肝移植は原則65歳以下、肝障害Cでミラノ基準を満たす場合

その他化学療法もあり、肝外転移があれば分子標的治療や全身化学療法となる

・肝動注化学療法

・分子標的治療

・全身化学療法

泌尿器科

 
治療
腎細胞癌 基本:外科手術
手術不能や遠隔転移がある場合:
分子標的薬、サイトカイン(免疫療法)
腎盂癌(尿路上皮癌) 標準治療:腎尿管全摘(+膀胱部分切除)
膀胱がん 初期治療、病理的確定診断を兼ねて全例にTURBT

組織診断により
上皮内がんの場合:膀胱内BCG注入療法(1st)
非筋層浸潤がんの場合:TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で完了
筋層浸潤がんの場合:根治的膀胱摘除術
進行がん(転移あり、手術不能):化学療法
前立腺癌


前立腺内に留まる場合手術(開腹or腹腔鏡)
放射線療法

※辺縁領域にできるので、経尿道的には行わない!
※PSA低値(10以下)かつグリソンスコア低悪性度(6以下)で腫瘍容量が小さい低リスク患者:PSA監視療法も考慮

※腺癌なのに放射線療法が有効なのがポイント!
前立腺外に浸潤する場合(局所浸潤?)放射線、ホルモン療法の併用
リンパ節転移、遠隔転移がある場合ホルモン療法

※前立腺癌では遠隔転移があっても化学療法ではなく、ホルモン療法であるのが特徴的!
※前立腺癌では化学療法は行わない!
※前立腺癌は辺縁領域にできるので、経尿道的には行わない!

腎細胞癌の治療

基本:外科手術

手術不能や遠隔転移がある場合:分子標的薬、サイトカイン

通常の癌治療で行われる化学療法や放射線は抵抗性なので原発巣に対してはおこなわない。

ただし、骨転移などで疼痛緩和のために姑息照射することはある。

なので、治療の基本は外科手術

手術による腫瘍摘出が困難だったり、遠隔転移がある場合は、

サイトカイン療法、分子標的薬などをもちいる。

腎盂癌(尿路上皮癌)の治療

標準治療:腎尿管全摘(+膀胱部分切除)

尿路上皮が残存すると再発することが多いので、腎尿管全摘が標準的な治療となる。

膀胱がんの治療

初期治療、病理的確定診断を兼ねて全例にTURBT

組織診断により

上皮内がんの場合:膀胱内BCG注入療法(1st)

非筋層浸潤がんの場合:TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で完了

筋層浸潤がんの場合:根治的膀胱摘除術

進行がん(転移あり、手術不能):化学療法

精巣腫瘍における高位精巣摘除術と同様に、膀胱癌では全例でTURBTを行い、初期治療を兼ねて確定診断と浸潤度合いを調べる。

病理診断の結果により、その後の治療方針が変化する。

上皮内がんの場合は、膀胱内BCG注入療法でOK。

筋層に浸潤していなければ、部分切除で良いので、TURBT。

だが、すでに行なっている。

筋層まで浸潤していれば、温存はできないので、膀胱摘除と考える。

転移などがあれば、一般的な癌と同じで化学療法。

前立腺癌

・前立腺内に留まる場合:手術(開腹or腹腔鏡)、放射線療法
※辺縁領域にできるので、経尿道的には行わない!

※PSA低値(10以下)かつグリソンスコア低悪性度(6以下)で腫瘍容量が小さい低リスク患者:PSA監視療法も考慮

・前立腺外に浸潤する場合:放射線、ホルモン療法の併用

・リンパ節、遠隔転移がある場合:ホルモン療法

病期、グリソンスコアによるがんの悪性度、PSA値、年齢などを考慮して治療方針を考える。

分類としては、前立腺内にとどまるか、とどまっていないかで分類する。

前立腺内にとどまる場合は、手術と放射線。

前立腺外へ浸潤があれば、手術でなく、ホルモン療法を行う。放射線も併用。

リンパ節、遠隔転移がある場合は、ホルモン療法による全身療法のみ。

前立腺癌は、男性ホルモン依存性に増殖するので、ホルモン療法が有効であることが重要。

浸潤があり、手術で取りきれない時にホルモン療法を行うと考える。

 

 

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