不眠症の概要
成人の30%以上が入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害のいずれかの睡眠障害を呈している。そして、6〜10%が不眠症に罹患している。
不眠症は仕事の長期欠勤、生産性低下、事故の増加、医療費の増加など社会に多様な経済的損失を与えていると考えられる。
不眠といっても原因は様々である。原発性不眠症、精神⽣理性不眠症、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、睡眠時無呼吸症候群などによる⼆次性不眠症、薬剤性などがある。
不眠症の分類
不眠症の原因の鑑別には、5Pという分類が覚えやすい。
5P | 例 | 治療法 | |
Physical | 身体疾患に伴う不眠 | 中枢神経系疾患(Parkinson病) 脳器質性疾患(脳梗塞など) 循環器疾患(不整脈) 呼吸器疾患(気管支喘息) 消化器疾患(逆流性食道炎) 皮膚疾患(アトピー性皮膚炎) 睡眠時無呼吸症候群 むずむず足症候群 周期性四肢運動障害 |
原疾患の治療 |
Physiologic | 生理学的不眠 | 時差ボケ 短期間の入院 交代勤務 不適切な睡眠環境 |
睡眠衛生指導 環境調整 メラトニン受容体作動薬(ロゼレム) |
Psychologic | 心理学的不眠 | 精神的ストレス 恐怖体験 死別などの喪失体験 |
|
Psychiatric | 精神疾患にともなう不眠 | うつ病 双極性障害 統合失調症 認知症 |
原疾患の治療 鎮静系抗うつ薬 鎮静系抗精神病薬 |
Pharmacologic | 薬理学的な不眠 | アルコール 向精神薬 インターフェロン 降圧薬 カフェイン ステロイド |
薬剤の中止 |
不眠症の症状の分類
不眠といっても大まかに4つに分類できる。
入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害である。
いずれの症状を呈するかで睡眠薬を使う場合、使う薬が変わってくる。
入眠障害 | 寝つきが悪い。なかなか眠れない。 |
中途覚醒 | 夜中に何度も目を覚ます |
早朝覚醒 | 朝早くに目がさめる |
熟眠障害 | 眠りが浅い。ぐっすり眠った感じがしない。 |
不眠症の診断基準
DSM-5による不眠障害の診断基準
A.睡眠の量または質の不満に関する顕著な訴えが、以下の症状のうち1つ(またはそれ以上)を伴っている:
(1)入眠困難(子供の場合、世話する人がいないと入眠できないことで明らかになるかもしれない)
(2)頻回の覚醒、または覚醒後に再入眠できないことによって特徴づけられる、睡眠維持困難(子どもの場合、世話する人がいないと再入眠できないことで明らかになるかもしれない)
(3)早朝覚醒があり、再入眠できない。
B.その睡眠の障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、教育的、学業上、行動上、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
C.その睡眠困難は、少なくとも1週間に3夜で起こる。
D.その睡眠困難は、少なくとも3ヶ月間持続する。
E.その睡眠困難は、睡眠の適切な機会があるにもかかわらず起こる。
F.その不眠は、他の睡眠ー覚醒障害(例:ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠ー覚醒障害、睡眠時随伴症)では十分に説明されず、またはその経過中にのみ起こるものではない。
G.その不眠は、物質(例:乱用薬物、医薬品)の生理学的作用によるものではない。
H.併存する精神疾患および医学的疾患では、顕著な不眠の訴えを十分に説明できない。
入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などの症状が1週間に3夜以上の頻度で起こり、3ヶ月以上続いている。
さらに、それらの症状が日常生活に悪影響を与えていることが診断基準となる。
また、原因として薬剤性や身体疾患が除外されていることも必要である。
不眠症の治療
1.睡眠衛生指導
問診 | アドバイス |
1.寝る4時間前にカフェインをふくむ飲料や食べ物を食べているか?(例:日本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなど) | 就寝の4時間前からはカフェインの入ったものは取らない。カフェインの入った飲料や食べ物は、日本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなど。入眠障害、中途覚醒、熟眠障害となる。 |
2.寝る前にお酒を飲むことがあるか? | 寝る前のお酒はだめ。寝つきはよくなるが、中途覚醒が増える。 |
3.寝る前にタバコを吸っている? | タバコに含まれるニコチンには精神刺激作用があるため眠れなくなる。寝る前1時間は避ける。 |
4.定期的に運動している? | 適度な有酸素運動をすれば寝つき易くなり、睡眠が深くなる。 |
5.寝室の音、光、温度は適切か? | 音がうるさいなら対策。光は遮光カーテンなど。温度はエアコンで調整。 |
6.空腹のまま寝ている? | 空腹で寝ると睡眠は妨げられる。睡眠の前に炭水化物などの消化の良いものをとると良い。脂っこいものは避ける。 |
7.寝床で考え事をしている? | 寝床で考え事はしない。寝つきにくくなるから。 |
8.昼寝をしている? | 昼寝をするなら15時前に30分以内。 |
9.寝る前にスマホやゲーム機を使用している? | 液晶ディスプレーが発するブルーライトにより睡眠のリズムが障害される。 ブルーライトを完全に遮断する眼鏡を着用するのがおすすめ。 |
10.朝起きてから光を浴びている? | 朝の太陽の光により体内時計がリセットされる |
まずは睡眠衛生指導が必要。
2.薬物療法
薬の使い分け
入眠障害なら、半減期の短いもの。
中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害なら、半減期の長いもの。
また、高齢者や日中危険な作業に関わる患者なら半減期の短いものにする。
せん妄やリスクがあれば、ベンゾジアゼピン系は避けて、鎮静系抗精神病薬、鎮静系抗うつ薬、新規睡眠薬を使用。
睡眠リズムの障害ならラメルテオン。
ベンゾジアゼピン系を避けたいなら、ラメルテオン、スボレキサント、レンボレキサント。
薬の使い方
効果、副作用、治療期間の目安を必ず説明。理解をえる。
単剤で最少量から開始。
薬が効くまでにはある程度時間がかかるので眠れても眠れなくても飲むように指導。
少なくとも1週間間隔で至適用量まで増量。
薬のやめ方
患者が眠れることに自信をもち昼間のQOL改善が認められたら、薬を徐々に減量する。
薬物療法からの完全な離脱は、薬物療法開始後6ヶ月〜1年の間に行う。
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