脳梗塞の鑑別
ラクナ梗塞 | アテローム血栓性脳梗塞 | 心原性脳塞栓症 | |
詰まる血管の太さ | 細い | 太い | 太い |
脳梗塞に占める割合 | 50%(半数近く) | 約20% | 20~25% |
病態 | 脳の細い動脈が高血圧によって損傷を受けて、だんだんと詰まる | 頸動脈や頭蓋内の比較的大きい動脈の硬化(アテローム硬化)によって動脈が狭くなると、そこに血栓ができて完全に詰まったり、できた血栓が流れて、血管の先の方で詰まる。 | 心房細動などでできた血栓が脳に運ばれ、脳動脈が詰まる。 |
梗塞巣の大きさ | 小さい | 中くらい | 大きい |
リスク因子 | 高血圧 | 高脂血症 糖尿病 高血圧 ※動脈硬化の因子と同じ | 心房細動 リウマチ性心臓病(弁膜症) 心筋梗塞 心筋症 ※心機能が低下するもの |
治療(急性期) | 血栓溶解薬(禁忌でないなら) 抗血小板薬 脳保護薬 | 血栓溶解薬(禁忌でないなら) 血管内治療 抗血小板薬 抗凝固薬 脳保護薬 抗脳浮腫薬 | 血栓溶解薬(禁忌でないなら) 抗凝固薬 脳保護薬 抗脳浮腫薬 |
抗血小板薬か抗凝固薬か? | 抗血小板薬:動脈内での血小板血栓が原因だから | 抗血小板薬 抗凝固薬 | 抗凝固薬(心臓にできる静脈血栓症が原因だから) |
治療(慢性期の再発予防) | 抗血小板療法 血圧コントロール | 抗血小板療法 頚動脈内膜剥離術(CEA) 頚動脈ステント留置術(CAS) 危険因子の管理(降圧、脂質・血糖コントロール) | 抗凝固薬 |
急性期の治療は、血栓溶解薬、脳保護薬、抗脳浮腫薬はほぼ共通している。
違いは、抗凝固薬と抗血小板薬のどちらを使うかという点。
ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は、動脈における血栓ができるのが原因なので、抗凝固薬を使う。
心原性脳塞栓症とアテローム血栓性脳梗塞は、血流鬱滞による血栓ができるのが原因となるので、抗血小板薬を使うと考える。
慢性期の再発予防に関しては、リスク因子を除外する治療を行う。
ラクナ梗塞は、高血圧がリスクなので、血圧コントロールと、抗血小板薬。
アテローム血栓性脳梗塞は内頚動脈の閉塞が原因なので、CASやCEAを行う。
心原性脳塞栓症は、心臓での血栓が原因なので抗凝固薬を使う。
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