術後胃がんの治療法を決めるためには、がんお進行度や病気を決定する必要があります。
その後、「胃癌治療ガイドライン」を参考に、病期によって1番効果があるとされる標準治療を選択することになるのです。
目次
胃がんは進行度分類によって病期を決める
胃がんの進行度分類は、cTNM(臨床分類)とpTNM(病理分類)の2つです。
臨床分類は、画像診断、審査腹腔鏡、開腹所見などを参考に総合的に判断されます。
一方、病理分類は、手術などで胃を切除した後の病理所見によって、判断を行うものです。
例えば、胃がんの術後の病理所見による分類(pTNM)では、M1(領域リンパ節以外の転移がある)に該当すると、StageⅣになります。
病期からアルゴリズムを用いて治療法を選択する
病期が判明すれば、上のアルゴリズムを用いて、治療法を決定します。
例えば、術後胃癌でステージⅣの場合、治療法は化学療法、対症療法です。
胃癌の余命
切除不能進行・再発胃癌における生存期間の中央値はおよそ6~14ヶ月
切除不能進行・再発胃癌の化学療法の適応は?
切除不能進行・再発症例、あるいは非治癒切除症例では、全身状態が比較的良好で、主要臓器の機能が保たれている場合が化学療法の適応です。
具体的にはパフォーマンスステータス等を参考に化学療法に耐えうる体力があるかを検討します。
パフォーマンスステータスでは、化学療法の適応の目安はPS0~2です。
つまり、PS2(歩行可能だが軽作業はできない)までの状態ならば化学療法の適応となる可能性があるということになります。
ちなみに、PS3(身の回りのことはできる)では、一般的には化学療法は推奨されません。
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
0: まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
1: 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行う ことができる。
例:軽い家事、事務作業
2: 歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3: 限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4: まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
出典:国立がん研究センター
一次化学療法を決めるためにHER2検査を行う
最初の化学療法(一次化学療法)を決めるために、HER2検査を行います。
これは、HER2陽性胃癌に対してはトラスツズマブが標準治療として考えられているからです。
HER2陽性の定義は、臨床では、IHC3+、またはIHC2+かつFISH陽性症例とされています。
そのため、ICH2+であっても、FISH陰性であれば、HER2陰性となるので注意が必要です。
IHC法によるHER2検査の判定スコア(2007 ASCO/CAPガイドライン)
所見 | |
---|---|
0 | 細胞膜染色なし、または10%未満の癌細胞の膜に染色 |
1+ | 10%以上の癌細胞の膜に不完全な染色 |
2+ | 10%以上の癌細胞の膜に弱~中等度の完全な染色または、10%以上30%以下の癌細胞の膜に強度の完全な染色 |
3+ | 30%を超える癌細胞の膜に強度の完全な染色 |
FISH法によるHER2検査の判定スコア(2007 ASCO/CAPガイドライン)
判定 | FISHの結果 |
---|---|
陰性 | HER2/17cen(CEP17)比1.8未満 |
境界域 | HER2/17cen(CEP17)比1.8~2.2 |
陽性 | HER2/17cen(CEP17)比>2.2 |
胃癌で推奨される化学療法レジメン
一次化学療法
HER2(-)の場合
・S-1+シスプラチン(CDDP)[A]
・カペシタビン(Cape)+シスプラチン(CDDP)[A]
・S-1+オキサリプラチン(OHP)[B]
・カペシタビン(Cape)+オキサリプラチン(OHP)[B]
・5-フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+オキサリプラチン併用療法(FOLFOX)[B]
HER2(+)の場合
・カペシタビン(Cape)+シスプラチン(CDDP)+トラスツズマブ[A]
・S-1+シスプラチン(CDDP)+トラスツズマブ[B]
※[]内はエビデンスレベル。A:強、B:中、C:弱、D:とても弱い
出典:胃癌治療ガイドライン第5版2018年1月改訂を元に作成
二次化学療法
パクリタキセル毎週投与法(wPTX)+ラムシルマブ[A]
出典:胃癌治療ガイドライン第5版2018年1月改訂を元に作成
三次化学療法
・ニボルマブ[A]
・イリノテカン[B]
出典:胃癌治療ガイドライン第5版2018年1月改訂を元に作成
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