ドンペリドンとは?
ドンペリドンとは、商品名ナウゼリンとして1982年に発売されました。
ドーパミン受容体拮抗薬の一つです。
吐き気止めや胃腸の働きをよくするお薬として使われます。
ドンペリドンの作用機序
第4脳室底部にある化学受容器引き金帯のドーパミンD2受容体が活性化すると、吐き気や嘔吐が起こる。
また、ドーパミンにはアセチルコリンと拮抗する作用があるため、ドーパミンD2受容体が活性化すると、アセチルコリンが減少する。
その結果、副交感神経の作用が減弱するため、胃腸の運動が低下する。
ゆえに、ドーパミンD2受容体を遮断することで、吐き気や嘔吐を抑制したり、胃腸の運動を活発にすることができる。
具体的には、第4脳室底部にある化学受容器引き金帯(CTZ:chemoreceptor trigger zone)にあるドーパミンD2受容体を遮断することで、吐き気を抑える。
また、上部消化管に存在するドーパミンD2受容体を遮断することで、アセチルコリンを増やし、副交感神経を活性化させることで胃腸の運動が活性化する。
ドンペリドンの効果
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
成人: 慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群 抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時
小児: 周期性嘔吐症、上気道感染症 抗悪性腫瘍剤投与時
成人の場合は、慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群、抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時。
小児の場合は、周期性嘔吐症、上気道感染症、抗悪性腫瘍剤投与時。
といった状況における悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気(胃の中の気体が口や鼻から出ること)といった症状に対して適応が認められています。
ドンペリドンの用法・用量
成人
用量:1回10mg
用法:1日3回食前に経口投与
レボドパ製剤投与時
用量:1回5〜10mg
用法:1日3回食前に経口投与
小児
用量:1日1.0~2.0mg/kg
用法:1日3回食前に分けて経口投与
1日最大投与量:30mg
※6才以上の1日最高用量は1.0mg/kg
ドンペリドンは胃腸の運動をよくする薬なので、食前に服用するのが特徴です。
ドンペリドンの禁忌
妊婦や妊娠の可能性のある女性
消化管出血、機械的イレウス、消化管穿孔
プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍:ドーパミン拮抗作用によりプロラクチンが増加する
ドンペリドンの重大な副作用
ショック・アナフィラキシー
錐体外路症状(振戦、筋硬直など)
意識障害、痙攣
肝機能障害、黄疸
ドンペリドンは抗精神病薬と同じくドーパミンD2受容体を遮断する作用があるので、錐体外路症状などの副作用が起こりうる。
しかし、血液脳関門を通過しにくいため、脳への移行は少ない。
ゆえに、錐体外路症状といった抗精神病薬のような副作用は起こりにくい。
ドンペリドンの作用時間
30分で最高血中濃度に達し、半減期は10時間程度で減少する。
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