113回医師国家試験

まず行うべき問題の解き方【医師国家試験】

「まず行うべきなのはどれか。」という問題が医師国家試験では多く出題されます。

113回でも15問程度出ています。

実際には、まず行うべき対応、治療、検査など聞かれ方は多種多様です。

もちろん、各選択肢に対する問題の意図がわかれば、こういったアプローチは必要ない。

しかし、国試の範囲は膨大で、知識が薄いところも出題される。

そんなときに、今回紹介するアプローチが役立つ可能性がある。

今回は、このまず行うべき問題の解き方を考察してみました。

まず行うべき問題の解き方

まず行うべき問題の解き方として、3つのパターンを考えてみた。

答えがわからないときに、いずれのパターンかを考えると、解ける可能性が高まるかもしれない。

1 対症療法が答えになるパターン
2 段階を認識し解くパターン
3 治療を辞めるパターン
4 低侵襲ですぐに行えるものパターン
5 ABCパターン

1 対症療法が答えになるパターン

113A17

29歳の女性。頭痛を主訴に来院した。2年前に手指の腫脹、皮膚硬化を自覚し、自宅近くの医療機関で精査を受けた結果、全身性強皮症と診断された。プレドニゾロン20mg/日を開始され、手指の腫脹と硬化は軽快した。プレドニゾロンは漸減され、5mg/日で維持されていたが、3か月前に皮膚硬化の増悪を認めたため、10mg/日に増量されていた。昨日から頭痛を自覚したため受診した。体温36.7℃。脈拍72/分、整。血圧172/108mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。両手指、前腕部および前胸部に皮膚硬化を認める。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球343万、Hb 10.5g/dL、Ht 32%、白血球11,200(桿状核好中球32%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球17%)、血小板43万。血液生化学所見:尿素窒素45mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 108mEq/L。抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性。

まず行うべきなのはどれか。

a 緊急透析
 皮膚生検
 α遮断薬投与
 ステロイドパルス療法
 アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬投与

答え:e

強皮症性腎クリーゼに伴う高血圧への対処を問う問題。

原疾患の治療ではなく対症療法が答えになるパターンである。

原疾患の治療よりも、高血圧などの優先される症状が出ている場合が適応となる。

113A35

25歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。本日朝、自宅で突然の頭痛を訴えた直後に呼びかけても反応がなくなったため、家族が救急車を要請した。意識レベルはJCS III-100。体温36.8℃。心拍数92/分、整。血圧160/92mmHg。呼吸数16/分。舌根沈下のため気管挿管を行った。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。瞳孔径は右3mm、左4mm、対光反射は左で消失している。入院時の頭部CT(A)及び脳血管造影像(B)を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

a 血行再建術
 血栓溶解療法
 コイル塞栓術
 ステント留置術
 脳室ドレナージ術

答え:e

原疾患がもやもや病であり、くも膜下出血→脳室穿破→急性水頭症→脳ヘルニアをきたした症例。

これも、もやもや病に対する治療は放っておいて、脳ヘルニアをきたす原因となる急性水頭症に対する治療が答えとなる。

2 段階を認識し解くパターン

医師の仕事のフローチャートは、以下のようになる。

医療面接→身体診察→検査(スクリーニング→精査)→治療→評価→医療面接・・・

提示された症例が現在どの段階であり、次に何をすべきか?を考えることで正解が導き出される問題がある。

113D69

62歳の男性。腹部膨満感と褐色尿を主訴に来院した。1か月前から腹部膨満感と時々、尿の色が濃くなることを自覚していた。飲酒は機会飲酒で、薬剤の服用はない。身長169cm、体重62kg。体温36.1℃。脈拍68/分、整。血圧134/86mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ウロビリノゲン(±)、潜血(±)。血液所見:赤血球428万、Hb 14.5g/dL、Ht 47%、白血球9,300、血小板20万。血液生化学所見:アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン1.3mg/dL、直接ビリルビン0.9mg/dL、AST 98U/L、ALT 106U/L、ALP 492U/L(基準115~359)、γ-GTP 92U/L(基準8~50)、アミラーゼ58U/L(基準37~160)、クレアチニン0.6mg/dL。CRP 1.1mg/dL。腹部超音波検査で異常を認めない。上部消化管内視鏡像を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。2つ選べ。

a 生検
 利胆薬投与
 内視鏡的乳頭切開術
 経皮的胆道ドレナージ
 磁気共鳴胆管膵管撮像〈MRCP〉

答え:ae

腹部超音波検査、上部消化管内視鏡像を行った段階。

さらなる、精査が必要な段階だと考えれば、MRCP。

確定診断のために、生検が選択できる。

3 治療を辞めるパターン

薬疹で抗菌薬をやめたり、過剰な輸液を止めたりするパターンもあったと思う。

4 低侵襲ですぐに行えるものパターン

113E34

35歳の男性。路上に倒れているところを通行人に発見され、救急車で搬入された。意識レベルはJCS II-30。体温36.0℃。心拍数104/分、整。血圧156/88mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99%(マスク5L/分酸素投与下)。対光反射は正常。皮膚は湿潤しており、体表に明らかな外傷を認めない。

まず行うべき検査はどれか。

a 血糖測定
 頭部単純CT
 動脈血ガス分析
 胸部エックス線撮影
e 尿の薬物スクリーニング

答え:a

意識障害の場合には、血糖測定は低侵襲ですぐに実施できるので最優先で行う。

他にも、心エコーや腹部エコーが答えになる問題もこのパターン。

症状低侵襲ですぐに行えるもの
意識障害血糖測定
女性で悪心嘔吐妊娠反応
腹部疾患腹部エコー
心疾患心エコー

5 ABCパターン

110D33

救急隊から患者受入要請があった.傷病者は30歳の男性.マンホールに入って作業を開始し,数分してから意識を失って倒れた.同僚が命綱を引っ張って救助したが意識はない.救急隊の接触時,意識レベルはJCSⅢ-300.体温36.0℃.脈拍80/分,整.血圧120/80mmHg.呼吸数8/分.SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下).けいれんや不随意運動はないという.作業現場は乾燥しており着衣に液体や固体による汚染はない.倒れた原因を現場で調査中である.
患者の病院到着時にまず行うべきなのはどれか.

a 原因が判明するまで患者を救急車内で待機させる.
b シャワーで全身を洗って除染する.
c 酸素を止め動脈血ガス分析を行う.
d 頭部CTを行う
e 気道確保を行う.

正解:e

救急の疾患で意識障害があり、呼吸数やサチュレーションといった呼吸のバイタルに異常があれば、ABCで考えて気道確保が答えになる。

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