認知症の鑑別
変性性認知症 |
脳血管性認知症 |
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アルツハイマー型認知症 | レビー小体型認知症 | 前頭側頭型認知症(Pick病) | ||
病態 | アミロイドβ蛋白やリン酸化タウ蛋白により神経が変性する。コリン作動性神経細胞の変性・脱落によるアセチルコリンの脳内での減少も関与する。 | レビー小体が神経細胞に沈着し、変性することで働きが低下して起こる | 異常な蛋白が蓄積し、前頭葉と側頭葉の神経細胞が変性し、機能が低下する | 脳卒中により障害部位の働きが低下してあらわれる |
原因 | アミロイドβ蛋白 リン酸化タウ蛋白 |
レビー小体 | 脳卒中 | |
特徴的症状 鑑別! |
著名な記憶障害 物盗られ妄想 取り繕い反応 鏡現象 |
妄想 幻視 抗精神病薬の感受性亢進 パーキンソニズム レム睡眠行動障害 心臓交感神経の作用低下 |
人格変化(脱抑制・感情鈍麻・自発性低下) 自発語の減少 時刻表的生活 常同行動 滞続言語:質問内容に関係なく同じフレーズで返答 |
情動失禁(些細な刺激で泣いたり笑う):感情を抑制する部位の障害による 階段状の機能低下 |
血流低下の部位 鑑別! |
頭頂葉から始まり側頭葉に進行 | 両側後頭葉 | 前頭葉、側頭葉 | 病変部 |
画像所見 | 大脳全般の萎縮 海馬萎縮 ![]() 出典 |
ドパミントランスポーターの取り込み低下 | 前頭葉と側頭葉の萎縮 | 脳実質内に脳梗塞巣 |
治療 | ドネペジル(コリンエステラーゼ阻害薬) NMDA受容体拮抗薬(メマンチン) |
ドネペジル(コリンエステラーゼ阻害薬) レボドパ:パーキンソニズムに対して |
なし(対症療法や介護しかない) | 脳梗塞の再発予防(抗血小板薬、抗凝固薬、降圧薬など) |
その他、特発性正常圧水頭症や甲状腺機能低下症、神経梅毒も認知症と同じ症状を示すことを覚えておく。
認知症の鑑別で重要なものは、まず以下の4つを覚える。
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症
脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβやリン酸化タウ蛋白の蓄積が原因で、神経細胞が変性する。
大脳全般の萎縮、特に海馬の萎縮が顕著なので、著しい記憶障害をきたすのが特徴。
自分が忘れたことを認識できないので、物を盗られたと騒ぎたてる物盗られ妄想や、忘れたことを隠すために取り繕いが見られる。
鏡の中の自分を他人と認識し、話しかける鏡現象が起こる。
治療は、アセチルコリンエステラーゼ。
アルツハイマー型認知症では、脳内でアセチルコリンが減少しているので、分解を阻害することでアセチルコリンを増やすのが有効。
レビー小体型認知症は、レビー小体が蓄積することで神経細胞が変性して起こる。
妄想や幻視が特徴。
また、パーキンソニズム、睡眠中に体が動くレム睡眠行動障害など特徴的な症状が多いので、診断は簡単だと考える。
治療は、アルツハイマー型認知症と同じでコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル塩酸塩。
前頭側頭型認知症も神経細胞の変性疾患であり、異常な蛋白の蓄積による神経細胞の変性や脱落により起こる。
特徴的なのは、病変が前頭葉と側頭葉に限局することである。
そのため、前頭葉の機能低下により人格変化、自発性低下、脱抑制といった症状が見られる。
脳血管性認知症は、脳卒中により脳の神経細胞が障害されて起こるので、どこでも起こりうる。
脳卒中が起こることで一気に症状が進行し、しばらくは変化せず、再び脳卒中が起こると一気に進行するというように階段状の経過を辿るのが特徴的。

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