113回医師国家試験

急性腎不全の鑑別

急性腎不全の鑑別

腎前性 腎性 腎後性
病態 心臓のポンプ作用低下、循環血液量低下などにより腎血流量が低下する 糸球体病変、急性間質性腎炎、尿細管壊死などの腎臓自体に原因があるもの 尿の通り道が閉塞し、尿が出なくなるため、腎臓の尿を作る働きも止まる
原因 心筋梗塞
心筋炎
下痢や嘔吐
大量発汗
薬剤性(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
糸球体病変(急速進行性糸球体腎炎など)
急性間質性腎炎
薬剤性(シスプラチン,アミノグリコシド,造影剤などの腎毒性物質による尿細管壊死)
後腹膜線維症
後腹膜への悪性腫瘍の浸潤
前立腺肥大症
前立腺癌
子宮癌
直腸癌
子宮頚癌
治療 輸液
輸血
原疾患の治療
原因の除去
保存的治療
血液浄化療法(必要であれば)
原疾患の治療
尿管カテーテル
経皮的腎瘻増設術
考え方 腎血流量を増やす 原因を治療する 尿路の閉塞を解除する

急性腎不全とは、急激な腎機能低下の結果、体液の恒常性が維持できなくなった状態。

血清クレアチニン値の上昇、GFRの低下、尿量の減少の3つで定義される。

重症度によって基準は異なるが、クレアチニン値が1.5倍以上もしくはGFRが25%より大きく低下、尿量が0.5ml/kg/h未満への低下が6時間以上続くといったものとなる。


出典:急性腎障害(AKI)診療ガイドライン 2016』

腎前性、腎実質性、腎後性の3つに分類できる。

分類 病態 原因となる疾患
腎前性急性腎不全 心臓のポンプ作用低下、循環血液量低下などにより腎血流量が低下する 心筋梗塞や心筋炎などによる心臓のポンプ作用の低下。
下痢や嘔吐、大量発汗などによる循環血液量の減少。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬などの薬物。
腎実質性急性腎不全 糸球体病変、急性間質性腎炎、尿細管壊死などの腎臓自体に原因があるもの ・糸球体病変(急性腎炎,急速進行性糸球体腎炎)
・急性間質性腎炎(薬剤や感染症)
・狭義の急性腎不全(ショックなどによる虚血,シスプラチン,アミノグリコシド,造影剤などの腎毒性物質による尿細管壊死など)
腎後性急性腎不全 尿の通り道が閉塞し、尿が出なくなるため、腎臓の尿を作る働きも止まる 後腹膜線維症
後腹膜への悪性腫瘍の浸潤
前立腺肥大症
前立腺癌など

腎前性は循環血漿量の低下が原因なので、脱水所見があれば、有用である。

腎後性は、尿路の閉塞が原因なので、腹部エコーで腎盂や尿管の拡大所見が有用。


出典:https://cdn.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/44_2.pdf

急性腎不全の治療

腎前性は、循環血液量低下が原因なので、輸液を行う。

出血が原因なら輸血。

腎性は、原疾患の治療を行う。

腎後性は、尿路の閉塞の原因を除去する。

また、尿管カテーテルや腎瘻増設によって、尿路のうっ滞を解除する。

腎障害が高度の場合は、血液透析を行いながら原因の治療を行う。

 

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