精神科専門医

むずむず脚症候群とは?病態、治療

むずむず脚症候群とは?

RLS(restless legs syndrome)、別名は下肢静止不能症候群ともいう。

下肢を中心にじっとしていると不快、ムズムズする、痛がゆいなどの症状を訴え、不眠をきたす疾患。上肢にも症状をきたすことがある。日本では有病率は1%程度、女性に多い。症状は必ずしもムズムズという表現ではなく、火照る、熱い、うずくなど多種多様であるので注意。

むずむず脚症候群の病態

鉄はドーパミンを作るために必要とされる。しかし、鉄が不足することでドーパミンがあまり合成されなくなる。さまざまな運動機能を滑らかにする働きがあるドーパミンが不足することで症状をきたすと考えられている。

むずむず脚症候群に似た疾患(鑑別疾患)

アカシジア:座ったままでじっとしていられなくなる症状。抗精神病薬の副作用。

下肢ミオクローヌス:筋肉に起こる素早い稲妻のような収縮。眠りに落ちるときに足がビクッと動くなど。

こむらがえり:いわゆる、足がつる状態。

下肢血管障害:下肢閉塞性動脈硬化症などの血行障害により痺れや痛みをきたす。

気分障害:

painful legs and moving toes症候群:つま先の不随意運動と下肢の疼痛を呈する疾患。

むずむず脚症候群の診断基準:DSM-5

A.脚を動かしたいという強い欲求は、通常、落ち着かない不快な下肢の感覚を伴い、またはそれに反応しており、以下の特徴のすべてを有している。

1.脚を動かしたいという強い欲求は、安静時または低活動時に始まるか、増悪する。

2.脚を動かしたいという強い欲求は、運動することで、部分的または完全に改善する。。

3.脚を動かしたいという強い欲求は、日中より夕方または夜間に増悪するか、または夕方または夜間にしか生じない。

B.基準Aの症状は週3回以上生じ、その状態が3カ月以上続いている。

C.基準Aの症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、教育的、学業的、行動的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.基準Aの症状は、他の精神疾患または他の医学的疾患(例:関節炎、下肢の浮腫、末梢虚血、下肢けいれん)によるものではなく、行動的障害(例:姿勢による不快感、貧乏揺すり)では説明できない。

E.その症状は、乱用薬物または医薬品の生理学的影響(例:アカシジア)によるものではない。

出典:DSM-Ⅴ

むずむず脚症候群の検査

血液検査:血液一般、血清鉄、血清フェリチン(貯蔵鉄)、総鉄結合能(TIBC)など

むずむず脚症候群の原因として、鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏症が挙げられるため、血液検査を行う。血清鉄や血清フェリチン(貯蔵鉄)の低下があれば、鉄剤で鉄を補充する。

血清フェリチンが50 ng/ml以下で重症度が上がる。なので、鉄剤投与後は、3カ月後に再度測定し、成人ではフェリチン75 ng/ml以上を、小児では50ng/ml以上で目標とする。治療期間は、数ヶ月かかる場合がある。

むずむず脚症候群の評価

国際RLS症候群評価尺度(IRLS)


出典:日本神経治療学会 標準的神経治療 Restless legs症候群
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf

国際RLS症候群評価尺度(IRLS)で重症度を評価する。

IRLSはRLSの重症度、頻度、日中の疲労・気分などの計10項目を4段階で評価。

40点満点中、0~10点は軽症、11~20点は中等症、21~30点は重 症、31~40点は最重症と判定する。

むずむず脚症候群の治療薬

薬物以外の治療
①カフェイン、アルコール、ニコチンを避ける
②症状を悪化させる薬物の減量または中止(抗うつ薬、抗精神病薬、メトクロプラミド、抗ヒスタミン薬など)
③睡眠衛生指導
④就寝前に少しウォーキング
⑤温かい風呂、冷たいシャワー(どちらがいいかは人による)
⑥四肢のマッサージ。空気圧縮レッグマッサージャーの使用

薬物治療:
①鉄やフェリチン欠乏あり→鉄剤で補充
②ドパミンアゴニスト
・プラミペキソール(商品名 ビ・シフロール)
・ロチゴチン(商品名 ニュープロパッチ)
③抗てんかん薬
・ガバペンチン(商品名 レグナイト)が保険適用である。
※上記薬は、添付文書で車の運転が禁止されている。

※服用して最初の頃は、副作用として眠気、吐き気などを認める場合がある。副作用が我慢できないときは、中断してもよい。

漢方薬:
①抑肝散(よくかんさん)
②抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
③滋陰降火湯(じいんこうかとう)
④加味逍遙散(かみしょうようさん)
⑤温経湯(うんけいとう)
⑥芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
などが有効であったという報告もある。

Q &A

Q 鉄のサプリを飲んでも治らない?サプリを飲めば、病院に行かなくてもいい?

市販のサプリは鉄の含有量が少ない。サプリにおける鉄の含有量は、DHC10mg、Dear-Natura12〜18mgなどと10mg程度しか入っていない。
クエン酸第一鉄Naなど薬は非ヘム鉄、サプリに多いのはヘム鉄。非ヘム鉄よりもヘム鉄の方が吸収率が高い。吸収率の差は5~6倍(ヘム鉄の吸収率は10~20%、非ヘム鉄は2~5%)。なので、サプリメントでヘム鉄10mgを摂取しても実際に吸収される量は1〜2mg、一方、クエン酸第一鉄Naなどの非ヘム鉄は添付文書では100〜200mgで処方されるので、100mg処方の場合、実際に吸収される量は2〜5mg、200mg処方の場合、実際に吸収される量は4〜10mg。よって、サプリメントだと量が少ないため、効果が低い場合があると考えられる。また、本当に鉄や貯蔵鉄(フェリチン)が低いのかもチェックする必要があるし、薬の効果も確認する必要があるので、病院を受診するのがおすすめ。

Q 鉄分補充のために何を食べればいい?

ヘム鉄の吸収率は10~20%、非ヘム鉄は2~5%とヘム鉄の方が効率がいいが、ヘム鉄と非ヘム鉄をバランス良く、どちらも摂取した方がいい。ヘム鉄が多い食材はレバー(豚レバー、鶏レバー、牛レバー)や牛もも肉などの赤身肉、かつおやまぐろなど赤身魚など。しかし、カツオやマグロは言われているほど、ヘム鉄は多くない。効率よくヘム鉄を摂取するにはレバーがおすすめ。

参考:ヘム鉄が多い食品(可食部100g当たりの含有量)
・豚レバー(生)・・・13.0mg
・鶏レバー(生)・・・9.0mg
・牛レバー(生)・・・4.0mg
・牛肉(生・赤身)・・・2.8mg
・めざし(生)・・・2.6mg
・砂肝(生)・・・2.5mg
・まいわし(生)・・・2.1mg
・かつお(生)・・・1.9mg
・まぐろ(生・赤身)・・・1.8mg
出典:『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』

一方、非ヘム鉄は、レンズ豆、小豆、枝豆などの豆類や、納豆などの大豆加工品、小松菜やほうれん草、パセリなどの野菜、ひじき、海苔などの海藻類などの植物系の食材に多い。

参考:非ヘム鉄が多い食品(可食部100g当たりの含有量)
・レンズ豆(全粒・ゆで)・・・4.3mg
・納豆・・・3.3mg
・小松菜・・・2.8mg
・枝豆・・・2.7mg
・ひじき(鉄釜・ゆで)・・・2.7mg
・厚揚げ・・・2.6mg
・サラダ菜・・・2.4mg
・そら豆・・・2.3mg
・水菜・・・2.1mg
・ほうれん草・・・2.0mg
出典:『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』

 

参考文献:

出典:日本神経治療学会 標準的神経治療 Restless legs症候群
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf

 

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