111回医師国家試験

Not Doing Wellとは?

Not Doing Wellとは?

Not Doing Wellとは、何となく元気がないという意味。

生後3ヵ月未満、特に生後1ヵ月未満児の発熱は生理的な免疫不全状態と考えられ、重症感染症の可能性が高いため、明らかな症状がないにも関わらず重症である可能性がある。

なので、明らかな症状がないにも関わらず重症である場合を見逃さないために、Not Doing Wellという概念が作られたと考える。

1ヵ月の乳児.発熱を主訴に両親に連れられて来院した.本日から38℃台の発熱を認めたため夜間の救急外来を受診した.咳や鼻汁などの気道症状はなく,嘔吐や下痢もない.しかし,何となく元気がなく泣き声も弱々しい.哺乳量も普段の半分程度であるという.

出典:111E54

母親の「なんかおかしい」という言葉も参考になる。

Not Doing Wellの対応

生後100日以内の乳児の細菌感染症は、病状の進行が極めて速く、手遅れになることもまれではないので、Not Doing Wellであれば、重症感染症を想定して対応する。

簡単に帰してはいけない。

血液検査、尿検査、胸部X線、必要ならばルンバールによる髄液検査を行い、熱源を検索する。

また、血液、尿、咽頭、髄液の細菌培養検査により、起因菌を同定する。

さらに、抗菌薬静注を検討する。

血液、尿、肺、髄液の感染の有無と起因菌を調べる。

起因菌は咽頭も。

この一連の作業をSepsis work up(敗血症精密検査?)というらしい。

Not doing wellを見逃して訴訟になった事例

生後3ヶ月20日の乳児のNot doing wellを中耳炎と誤診し、帰してしまった後に、細菌性髄膜炎により脳性麻痺などの後遺症となった事例がある。

細菌性髄膜炎は約1日で脳に重篤な障害を及ぼすなど異常な進行速度をきたすものがあるので、Not doing wellは絶対に帰してはいけないと考える。

生後3ヶ月20日程度の乳児に、哺乳量の低下、何となく元気がない(not doing well)、約39℃の発熱等の症状が継続し、末梢白血球数19、400μl程度、血小板数60、000μlという状態となったが、医師からは中耳炎等と診断されたため、適時適切な治療の機会を逸し、同診断日の6日後に、細菌性髄膜炎により高度の水頭症、脳萎縮、てんかん、脳性麻痺、精神発達遅延などの後遺症を残すこととなり、「四肢麻痺」として障害等級1級の認定を受けるに至った事案。被害者側の原告訴訟代理人として、後遺障害逸失利益等を含め、損害賠償請求訴訟を提訴した。
細菌性髄膜炎には、約1日で脳に重篤な障害を及ぼすなど、電撃的に進行するものもあり、一般的にいっても、乳児、小児事案については、凄まじい速度で病状が進行・悪化するため、当該医師の診断時にそもそも細菌性髄膜炎に罹患していたのか(最終診断日から発症までの空白の6日間で発病、進行した可能性。因果関係)、医師の診察時には、医師の診断のとおり、「中耳炎」や「突発性発疹」に過ぎなかったのか等、医学上の事項が大きな争点となった。
法律論に関しては、前記因果関係の問題の他、予見可能性(過失)も問題となった。つまり、通常の診断過誤が争点となる場合には、当該疾病の特異的な症状が発現し、医師がそれを認識していたということを中心に予見可能性の立証を行うことになるものと思われるが、乳児の細菌性髄膜炎では、成人の細菌性髄膜炎とは異なり、ケルニッヒ徴候、項部硬直等の細菌性髄膜炎の特異的な症状に乏しいことが多いという点に逆に特徴があり、本件においても、特異的症状と言われる症状を呈してはいなかったため、「過失」の立証をどのように行うべきかということに困難が伴った。
後医のカルテの精査、各種医学文献の調査、協力医との相談・面談等を繰り返し行いつつ、約3年間に渡り訴訟活動を行った。裁判では、耳鼻科医の証人尋問、被告医師の本人尋問、被害乳児の両親の本人尋問も行われた。これらの後、裁判所より、被害者側の主張する事実関係を全面的に採用し、損害賠償として医師側に9500万円を被害者側に対して支払うよう「和解勧告」がなされ(判決文のような形式であった)、結果、最終的に和解が成立した。

出典:https://takumilaw.com/cases/detail1573.html

 

 

 

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