血液内科

多発性骨髄腫の病態、症状、診断、治療

多発性骨髄腫の病態

B細胞から分化してできる形質細胞が、がん化し、異常増殖する。

がん化した形質細胞は機能を失った免疫グロブリン(Mタンパク)を産生する。

多発性骨髄腫の症状

骨痛

骨障害による。

主な症状はCRABと覚える。

高Ca血症 (Calcium elevation)
腎障害  (Renal insufficiency)
貧血   (Anemia)
骨障害  (Bone disease)

骨髄腫細胞から破骨細胞の働きを促進し、骨芽細胞の働きを抑制する物質が出るため、骨吸収が亢進し、高Ca血症や骨病変をきたす。

腎障害は、M蛋白が糸球体に引っかかり、沈着することで起こる。

また、ベンズジョーンズ蛋白が腎臓から尿中に排泄される過程で尿細管に沈着することも原因。

貧血は、骨髄で骨髄腫細胞が増殖することで正常な造血が抑制されるため。

多発性骨髄腫の診断

血液検査:血清Ca上昇、正常免疫グロブリン低下、M蛋白上昇、総蛋白上昇、アルブミン低下

骨X線:パンチドアウトリージョン(骨打ち抜き像)


出典:http://www.shinyuri-hospital.com/department/31_ketsueki/desease01_3.html

骨吸収が亢進するため、血清Ca上昇や骨打ち抜き像が見られる。

異常な免疫グロブリンが大量に作られるために、正常な免疫グロブリンは減少する。

M蛋白が増えるので、総蛋白は上昇する。

骨髄穿刺:形質細胞増殖の証明

蛋白電気泳動:Mタンパクの証明

多発性骨髄腫の治療

化学療法:ボルテゾミブ(プロテアソーム阻害薬)、レナリドミド

ボルテゾミブ:全ての細胞に存在し、細胞の機能や成長に重要なプロテアソームを阻害する。

レナリドミド:サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用により骨髄腫細胞を減少させる。

造血幹細胞移植

 

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