肝胆膵についてまとめる。
解剖や用語
門脈の走行
出典:http://kango-edu.justhpbs.jp/service7.html
門脈とは、消化管で吸収した栄養成分や解毒成分を肝臓に運ぶ血管。
脾静脈、上腸間膜静脈、下腸間膜静脈の3つの静脈が合流したもの。
肝胆道系の解剖
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%86%E7%AE%A1
左からくる肝臓内の管が左肝管、右からくるものが右肝管。
合わさると、総肝管となる。
胆嚢の起始部の管はそのまま胆嚢管。
3管合流部より末梢の管は、総胆管。
マーフィー徴候
右季肋部の下を圧迫したまま深呼吸をさせると、深吸気時に、胆嚢が当たるため、痛みで呼吸が停止する。
急性胆嚢炎で見られる。
ミリッジ症候群
出典:http://www.weichuanyen.com/2015/06/mirizzi.html
胆嚢頚部や胆嚢管の結石による圧排や炎症によって、総肝管が狭窄すること。
胆嚢頚部もしくは胆嚢管に存在する結石により主として総肝管の圧迫や狭窄あるいは閉塞をきたした病態
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ringe1963/44/8/44_8_1083/_article/-char/ja/
レンメル症候群
出典:https://www.qlife.jp/dictionary/item/i_160233000/
十二指腸傍乳頭部の憩室により、総胆管や膵管が閉塞する。
胆汁や膵液の排出ができなくなるので、炎症や黄疸が起こる。
カレン徴候
出典:https://medi.atsuhiro-me.net/entry/2016/01/15/210421
急性膵炎で見られる。
膵液によって組織が自己融解を起こすと、血性滲出液が臍周囲の皮下組織に沈着。
臍周囲の皮膚が暗赤色に染まる。
閉塞性黄疸
胆管が詰まることで、腸の中に排出されるはずの胆汁が血中に逆流して起こる。
胆汁が腸へと流れないので、灰白色便となる。
尿中ウロビリノーゲンは低下。血中胆汁酸は上昇する。
出典:https://medical-checkup.biz/archives/1652
チャイルドピュー分類
ChildーPugh分類の項目
ビア(beer)腹のPT(patientの略語)
ビ・・・血清Bil値
ア・・・血清Alb値
腹・・・腹水
の・・・脳症
PT・・・PT(%)
チャイルドピュー分類
1点 | 2点 | 3点 | |
血清Bil値 | ~2 | 2~3 | 3~ |
血清Alb値 | 3.5~ | 2.8~3.5 | ~2.8 |
腹水 | なし | 少量 | 中等量 |
脳症 | なし | 軽度 | ときどき昏睡 |
PT(%) | 70~ | 40~70 | ~40 |
グレードA(軽度)・・・5~6点
グレードB(中等度)・・・7~9点(子供はよく泣く)
グレードC(高度)・・・10~15点
点数は最低5点、最高15点となる。
2点の数値とグレードBとなる点数を覚える。
肝傷害度は脳症をICG15分値に置き換えたもの。
チャイルドピューとは数値が異なる。
肝傷害度の項目
血清Bil値
血清Alb値
腹水
ICG15分値
PT(%)
ICG15分値とは?
インドシアニングリーン(ICG)を静脈から注射し、15分後に血中のICGがどれくらい排出されたかを調べることで、肝臓の解毒能力の程度がわかる。
核黄疸
新生児期に間接ビリルビンが上昇し黄疸が出現。
脳の基底核や海馬回にビリルビンが沈着する。
神経細胞が破壊され、脳性麻痺をきたしたり、死亡の原因となる。
脳には脂溶性のものが沈着しやすいため、間接ビリルビンの上昇によって起こる。
肝炎
脂肪性肝炎
脂肪性肝炎とは、肝臓の細胞の中に脂肪がたまること。
肥満、糖尿病、アルコールが原因。
末梢から肝臓への脂肪動員の促進や肝臓における脂肪合成の促進などによって起こる。
エコーで肝臓が高輝度になるので、bright liver(高輝度肝)といわれる。
出典:http://kkshikaku.com/archives/1041#fatty_liver
肝臓と腎皮質のエコーレベルを比較すると、通常は差がないが、脂肪肝では明確な違いが見られる。
出典:http://www.teramoto.or.jp/teramoto_hp/kousin/sinryou/gazoushindan/case/case182/index.html
脂肪肝は、CTでは低吸収となり、暗くみえる。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とは、アルコールをほとんど飲まない人に起こる脂肪肝のうち、肝硬変や肝がんへと進行する可能性のあるもの。
肥満、DM、HT、HLなどが原因。
以下のような図式が成り立つ。
NAFLD=NASH+単純性脂肪肝
NAFLD・・アルコールをほとんど飲まない人に起こる脂肪肝
単純性脂肪肝・・進行せず良性の経過をたどるもの
NASH・・肝硬変や肝がんへと進行する可能性のあるもの。
自己免疫性肝炎
自己免疫が原因で起こる肝炎。
抗平滑筋抗体陽性となる。
肝性脳症
肝不全によって、アンモニアなどが体内に蓄積することで意識障害、異常行動、羽ばたき振戦(アステリキシス)などが起こる。
アステリキシス
肝硬変
肝臓が慢性炎症により、破壊と再生を繰り返すことで線維化する。
下がるもの
血中・尿中Na・・・血中アルブミン低下により浸透圧が下がり、血管から水分が出ていく。Naは間質へ移行し、浮腫が起こる。
アルブミン・・・肝臓での合成能が低下。
血小板・・・肝臓の線維化に伴い脾臓の機能が亢進する。血小板産生を促進するトロンボポエチンが肝臓が作られなくなるから。
ヘパプラスチンテスト値・・・第II、VII、X因子の産生能を反映するものだから。
フィッシャー比 [分岐鎖アミノ酸(BCAA)/芳香族アミノ酸(AAA)]・・・分岐鎖アミノ酸が減少し、芳香族アミノ酸が増加するから。
上がるもの
アンモニア(NH3)・・・解毒作用低下。
γグロブリン・・・肝硬変では、腸管由来の抗原に対する抗体の産生が促進されるから。
ビリルビン・・・代謝ができない。
PT-INR・・・凝固因子の合成ができない。
肝腫瘍
肝細胞癌
出典:https://medical.nikkeibp.co.jp/all/search/cancer/news/200802/closeup/505562_fig1.html
ダイナミックCTで早く染まるため動脈相で白くなるが、早く抜けるため門脈相で黒くなるのが特徴。
治療はTAE(経カテーテル動脈塞栓術)。
血管内にカテーテルを肝細胞癌の近くまで挿入し、ゼラチンスポンジなどの塞栓物質を注入することで、血流を停滞させ、血栓化させる。また、抗がん剤を注入する場合もある。
その結果、肝細胞癌は肝動脈から栄養を受けることができずに死滅する。
出典:http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/radio/image/ivr1.pdf
肝血管腫
出典:https://medical-symptoms.net/archives/3866
ダイナミックCTでは、周囲からジワジワ染まる。
肝血管腫は、細い血管が無数に絡み合ってできた塊なので、血管抵抗が高く、染まりにくい。
肝膿瘍
肝臓に膿瘍ができた状態。
病原体によって、細菌性とアメーバ性に分けられる。
出典:https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/4448
CTで、的を二重に重ねたダブルターゲットサインが見られるのが特徴的。
治療は、細菌性なら抗菌薬とドレナージ。
アメーバ性ならドレナージはせずに抗菌薬のみ。
体質性黄疸
遺伝的な要因で、ビリルビンを体外へ排出できず、黄疸が生じる。
以下の4つが重要。
ジルベール症候群
クリグラー・ナジャール症候群
デュビン・ジョンソン症候群
ローター症候群
グルクロン酸転移酵素に異常が見られるのが、ジルベール症候群とクリグラー・ナジャール症候群。
抱合型ビリルビンを胆汁中に分泌する過程に異常が見られるのが、デュビン・ジョンソン症候群とローター症候群。
ジルベール症候群
体質性黄疸で最多。間接ビリルビンが上昇。
ビリルビンを脂溶性分子と結合するグルクロン酸転移酵素の作用が減弱することで、間接ビエリルビンを直接ビリルビンに変換できないために、排出ができずに、貯留する。
血清ビリルビン値は1-5(mg/dl)程度まで。
クリグラー・ナジャール症候群
ジルベール症候群と同様に、グルクロン酸転移酵素の障害で、間接ビリルビンがたまっておこる。
ジルベール症候群との違いは、血清ビリルビン値が30-50mg/dlと高値を示すところ。
デュビン・ジョンソン症候群
抱合型ビリルビンを胆汁に分泌する肝細胞の機能欠如によって、血中の抱合型ビリルビンが上昇する。
ローター症候群
デュビン・ジョンソン症候群と同様に、抱合型ビリルビンを胆汁に分泌する肝細胞の機能欠如によって、血中の抱合型ビリルビンが上昇する。
デュビン・ジョンソン症候群との違いは、肝細胞に色素沈着が見られない点。
胆嚢
胆嚢結石
出典:http://keijinkai-hp.net/chiryo/tanseki.html
胆嚢内に結石ができる。
疝痛発作が見られる。
疝痛発作
胆嚢頸部や胆嚢管へ胆石が嵌頓することで生じる痛み。心窩部痛や右季肋部痛が多い。しばしば、右肩甲部に放散痛がみられる。
胆嚢炎
結石により胆嚢管が閉塞し、胆嚢壁が炎症をきたす。
出口が塞がると、細菌を排出できないため、短期間で重症化しやすい。
治療は、PTGBD(経皮経肝的胆嚢ドレナージ術)、抗菌薬、腹腔鏡下胆摘。
PTGBD(経皮経肝的胆嚢ドレナージ術)
体外からエコーガイド下に胆嚢を穿刺し、チューブを留置する。
出典:https://www.ntt-east.co.jp/kmc/guide/gastroenterology/tansui/03_tannoen.html
胆嚢腺筋腫症
胆嚢の粘膜上皮が胆嚢壁の筋肉の層まで嵌入したものが増生する。
胆嚢壁のびまん性、限局性肥厚を特徴とする。
出典:https://ssl.kotobuki-pharm.co.jp/guide/guide03-42
治療は、無症状なら経過観察。
腹痛などの症状が強ければ、胆嚢摘出術の適応。
胆嚢捻転症
胆嚢全体が回転して、胆嚢の入り口がねじれる。
その結果、血流傷害をきたして、胆嚢が壊死する。
急激な右季肋部から心窩部痛がみられる。
CTで確認して、治療は胆嚢摘出術。
胆嚢ポリープ
出典:https://office-purej.com/info/benign-disease-of-gall-bladder/
胆嚢ポリープとは、胆嚢の内側にできる隆起性変化のこと。
1cm以下なら胆嚢ポリープ疑い。
エコーで経過観察とする。
出典:https://us-ism.com/%E8%85%B9%E9%83%A8%E8%B6%85%E9%9F%B3%E6%B3%A2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%80%80%E8%83%86%E5%9A%A2%EF%BC%95%E3%80%80%E8%83%86%E5%9A%A2%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%97/
胆嚢癌
胆嚢や胆嚢管にできた悪性腫瘍。
膵胆管合流異常がリスクとなる。
1cm以上で増大傾向があれば疑う。
治療は胆嚢摘出術。
出典:https://us-ism.com/%E8%85%B9%E9%83%A8%E8%B6%85%E9%9F%B3%E6%B3%A2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%80%80%E8%83%86%E5%9A%A2%EF%BC%96%E3%80%80%E8%83%86%E5%9A%A2%E7%99%8C/
胆管
胆管結石→急性胆管炎
総胆管に結石ができること。
感染を起こすと、急性胆管炎となる。
治療は乳頭切開で出口を広げてから、内視鏡的胆管結石除去術が第一選択。
抗菌薬とドレナージ。
胆管癌
出典:https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/biliary-tract/biliary-tract-cancer/03.html
胆管の内側の上皮からできる悪性腫瘍。
リスク因子は以下の通り。
胆管癌のリスク因子
膵胆管合流異常症
先天性胆道拡張症
肝内結石
原発性硬化性胆管炎(Primary Sclerosing Cholangitis:PSC)
ジクロロプロパン
先天性胆道拡張症とは?
先天的に胆管が拡張しているため、胆汁の流れが悪い。
出典:http://www.jsps.gr.jp/general/disease/hbp/k57n3l
原発性硬化性胆管炎(Primary Sclerosing Cholangitis:PSC)
自己免疫が原因で、胆管に炎症が起こり、線維化により胆管が狭窄する。
その結果、胆汁がうっ滞し、肝臓や胆管の機能が失われていく。
出典:https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/disease/index.cgi?c=disease-2&pk=382
原発性胆汁性胆管炎(Primary biliary cholangitis:PBC)
出典:http://www.kansikkan.jp/disease/10.html
自己免疫により、小葉間胆管が傷害される。
その結果、肝臓内に胆汁がうっ滞する。
症状は、かゆみや黄疸。
中年女性に多い。
抗ミトコンドリア抗体陽性。
治療はウルソデオキシコール酸。
ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸の成分を含む。
作用機序は以下の通り。
胆汁酸を外から加えると、腸から吸収された後、肝臓で胆汁として分泌される。
そのため、胆汁の滞りが改善され胆石を溶かすことができる。
膵嚢胞性腫瘍
膵嚢胞とは、膵臓の内部や周囲にできる液体のたまり。
症状はなくCTやMRIなどにより偶然見つかることが多い。
出典:https://ocw.tsukuba.ac.jp/discovery/pancreatic_cancer/mcn/
好発部位 | 形状 | |
膵管内乳頭粘液性腫瘍IPMN | 膵頭部 | ぶどうの房 |
粘液性嚢胞腫瘍MCN | 膵体部、尾部 | 夏みかん |
漿液性嚢胞性腫瘍SCN | 同じ | 蜂の巣 |
膵頭部に発症した分枝型IPMN
出典:http://www.surg.med.tohoku.ac.jp/surg1/patient/disease/h-7.html
SCN
出典:http://www.surg1.med.kyushu-u.ac.jp/surg1/html/shinryo_annai/kantansui/kantansui.html
MCN
出典:https://www.keio-hpbts.jp/disease/pancreas/02.html
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