内分泌代謝内科

甲状腺中毒症の鑑別

甲状腺中毒症の鑑別

バセドウ病 プランマー病 無痛性甲状腺炎 亜急性甲状腺炎
病態 TSH受容体抗体という自己抗体がTSH受容体に結合することで、甲状腺ホルモンが過剰に産生される。 甲状腺腫瘍により甲状腺ホルモンが過剰に分泌される。 原因不明だが、甲状腺の細胞が壊れることで、甲状腺ホルモンが血中に出てくる。細胞が壊れるが、痛みがない。 ウイルス感染により、甲状腺が炎症をきたすため、発熱や圧痛を伴う。
破壊された濾胞から甲状腺ホルモンが出てくる。
主な病態 自己抗体による過剰産生 甲状腺腫瘍による過剰産生 原因不明の破壊性 ウイルスによる破壊性
抗TSH受容体抗体 +
甲状腺シンチ摂取率 高値
びまん性取り込み
高値
結節への取り込み
低値 低値
圧痛 +
甲状腺ホルモン服用
尿中ヨウ素排泄量 ↓:使われるから ↑:使われないから
治療 抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)
甲状腺亜全摘術
放射性ヨウ素:小児や妊婦は禁忌?(放射線により細胞を破壊する)
外科的切除
経皮的エタノール注入?
経過観察 自然治癒
対症療法:
NSAIDs
副腎皮質ステロイド(炎症所見の強い場合)
頻脈などに対してβ遮断薬
禁忌 ヨード造影剤の使用(材料を与えるので増悪する)

甲状腺中毒症の病態

甲状腺中毒症とは、血中の甲状腺ホルモン濃度が過剰に上昇して、甲状腺ホルモン作用が過剰に現れた病態。

バセドウ病、プランマー病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎といった4つの疾患を鑑別する。

甲状腺中毒症 病態 検査 治療
バセドウ病 TSH受容体抗体という自己抗体がTSH受容体に結合することで、甲状腺ホルモンが過剰に産生される。 抗TSH受容体抗体+
甲状腺シンチ摂取率高値・びまん性取り込み
抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)
甲状腺亜全摘術
放射性ヨード
β遮断薬(頻脈に対して)
プランマー病 甲状腺腫瘍により甲状腺ホルモンが過剰に分泌される。 抗TSH受容体抗体ー
甲状腺シンチ摂取率高値・結節への取り込み
無痛性甲状腺炎 原因不明だが、甲状腺の細胞が壊れることで、甲状腺ホルモンが血中に出てくる。細胞が壊れるが、痛みがない。 抗TSH受容体抗体ー
甲状腺シンチ摂取率低値
甲状腺ホルモン服用なし
圧痛なし
経過観察
β遮断薬(頻脈に対して)
亜急性甲状腺炎 ウイルス感染により、甲状腺が炎症をきたすため、発熱や圧痛を伴う。
破壊された濾胞から甲状腺ホルモンが出てくる。
抗TSH受容体抗体ー
甲状腺シンチ摂取率低値
甲状腺ホルモン服用なし
圧痛あり
自然治癒
対症療法:NSAIDs、副腎皮質ステロイド(炎症所見の強い場合)
β遮断薬(頻脈などに対して)

バセドウ病とプランマー病は甲状腺ホルモンが過剰に作られるという病態。

一方、無痛性甲状腺炎と亜急性甲状腺炎は甲状腺細胞が破壊されて、ホルモンが出てくるという病態。

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に産生されているので、治療は抗甲状腺薬。

外科的には亜全摘。ヨード摂取によるウォルフチャイコフ効果によってホルモン産生を抑制するのも有用。

無痛性甲状腺炎は、原因不明であり、経過観察。

亜急性甲状腺炎は、ウイルス性の炎症が原因なので、対症療法しかない。

痛みがあるので、NSAIDs。炎症に対しては副腎皮質ステロイド。

全てにおいて、頻脈があればβ遮断薬が有効。

甲状腺中毒症の鑑別


出典:https://www.srl.info/message/cs/2014/0922/0000.html

FT3、FT4が上昇、TSHがフィードバックにより減少していれば甲状腺中毒症を疑う。

まず、TSH受容体抗体を調べて、陽性ならバセドウ病。

陰性ならそれ以外となる。

次に、甲状腺シンチグラフィーで放射性ヨードの取り込み率により鑑別する。

摂取率が高値、つまり甲状腺ホルモンの産生が亢進している場合は、バセドウ病かプランマー病。

摂取率が低値、つまり甲状腺ホルモンの産生が低下している場合は、無痛性甲状腺炎か亜急性甲状腺炎と考える。


出典:http://www.hosp.ncgm.go.jp/s037/130/070/scinti_06.html

ヨードが取り込まれる部分は黒くなる。

甲状腺ホルモンの服用がなければ、甲状腺の痛みの有無を確認する。

痛みがなければ、無痛性甲状腺炎。

痛みがあれば、亜急性甲状腺炎。

 

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