身体診察

神経学的検査チャートの取り方まとめ

神経学的検査チャートでわかりにくいところをまとめる。

神経学的検査チャートとは?

神経学的検査チャートとは、意識状態、言語、脳神経、運動系、感覚系、反射、協調運動、髄膜刺激徴候、起立歩行などに関する総合的な神経学的所見を記載することができるもの。

以下のような様式になっている。


意識・精神状態

意識清明ならJCS0

GCSでマックスは以下の通り。

E4:自然に開眼

V5:見当識が保たれた会話

M6:命令に従う

記憶

記憶の検査は以下の3つを行う。

障害があれば、その内容を記述。

即時記憶:これから言う3つの言葉を繰り返してください。「サクラ、ネコ、電車」
近時記憶:「昨日の天気はどうでしたか」「朝食は何を食べましたか」
遠隔記憶:「あなたが卒業した中学校の名前を教えてください」

出典:https://www.neurology-jp.org/news/news_20080715_01.html

失行

スクリーニングとして、観念失行と観念運動失行の検査を行う。

観念運動失行の定義は、「物品を使用しない単純な運動や、一つの物品を対象とする運動が言語命令、模倣、物品使用のいずれでも障害されるもので、自動運動は可能であるが意図的な運動はできない状態」。

敬礼といった簡単な動作ができない。

観念失行の定義は、「個々の運動はできるが、複雑な一連の運動連鎖が必要な行為が障害される」。

紙をおって封筒にいれるといった一連の行為ができない。

失行には(1)観念運動失行(2)観念失行(3)肢節運動失行(4)構成失行(構成障害)(5)着衣失行(6)口・顔面失行などがあるが、スクリーニングとしては観念失行と観念運動失行の検査を行う。検査の例として以下の方法がある。
―さようならと手を振ってください(観念運動失行)。
―これらを使って歯磨きをする真似をしてください(観念運動失行)。

出典:https://www.neurology-jp.org/news/news_20080715_01.html

失認

スクリーニングとして、半側空間無視の検査を行う。

聴診器のゴムの中心をつかませる検査が簡易。

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/88/12/88_12_2372/_pdf

失語

言語理解、発語、復唱を確認する。

言語理解:ジェスチャーなしで「右手で左の耳を触って下さい」と指示

物品呼称:メガネ、財布、鍵などを見せて呼称してもらう

復唱:「今日の天気は晴れです」と復唱してもらう

失語の検査では言語理解、発語、復唱の順番で失語の障害を確認する。これらの検査結果を総合して病型を診断し、チャートに記載する。検査の仕方(例)を以下に示す。
―日常的3物品(時計、めがね、財布、鍵など)を見せ呼称してもらう(物品呼称)。
―言語理解の検査として「右手で左の耳を触って下さい」などの命令をし、施行してもらう(ジェスチャーを加えないこと)。
―単文を言って復唱できるかを検査する(復唱);「今日の天気は晴れです」。

構音障害

ラリルレロ、ガギグゲゴ、パピプペポを言ってもらい、構音障害があるかを判定

脳神経

視野

片目を隠して検査者の鼻の頭を見てもらう。

右上、右下、左上、左下の4か所で指を動かして見えるかを判定。

ポイント

・片目を隠してやる

・検査者の鼻の頭を注視してもらう

眼裂・眼瞼下垂・眼位

遠くを見てもらい、左右差を確認

眼位は、人差し指を注視してもらい、両目の位置が目標に合致しているかをみて、斜視の有無をみる

眼球運動・眼振・複視

人差し指を注視してもらい、左右・上下、右上、右下、左上、左下の8方向への動きをみる。

左右・上下の4方向では、最終地点で指標の動きを止めて、眼振の有無をみる。

このとき、複視の有無(ものが二重に見えないか)もきく。

水平性眼振

垂直性眼振

回旋性眼振

瞳孔・大きさ・形

2mmより小さい・・・縮瞳

5mmより大きい・・・散瞳

輻輳反射

遠方を見てもらい、眼前10cmに指先を近づけて注視してもらう。

両側眼球の内転と瞳孔の収縮を確認。

どちらか見られない場合は、障害と判定。

上部顔面筋

前頭筋と眼輪筋の筋力をみる。

前頭筋:額のしわ寄せ

眼輪筋:目をぎゅーっとつむってもらい、睫毛徴候をみる。


出典:https://www.reference.com/health/bell-s-palsy-5b893af6a5be7649

上の画像の右目のように、目を眼前に閉じることができず、睫毛が見える場合、睫毛徴候陽性となる。

下部顔面筋

歯を見せてイーッとしてもらう。

口角の偏倚、鼻唇溝の左右差から麻痺の有無を判断。

聴力

指こすりが聞こえるかどうか

めまい

回転性か非回転性かきく。

非回転性の場合は、浮動感、眼前暗黒感、失神感などの性状もきく。

軟口蓋

口を大きく開けて、アーッと言ってもらう。

軟口蓋、口蓋垂、咽頭後壁の動き・偏倚がないか。

カーテン徴候を確認。

カーテン徴候とは?


出典:https://twitter.com/egg_ott

片側の咽頭筋麻痺によって、発生時に患側の軟口蓋の挙上ができなくなる。

その結果、咽頭壁が健側に引かれることで、後咽頭のヒダが健側にのみでき、口蓋垂が健側に偏位する。

後咽頭のヒダの偏位がカーテンに似ているのでカーテン徴候と言われると考えられる。

舌線維束性収縮

運動神経や脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)に障害が起きると、筋肉が細かくぴくぴくと小さなけいれんのような動きをきたす。

筋肉の障害では見られない。

運動系

筋トーヌス

痙縮や筋強剛、筋トーヌス低下の有無を判定。

上肢・・・肘関節の屈伸、前腕の回内・回外、手関節の屈伸でみる

下肢・・・膝関節の屈伸、足関節の底屈・背屈でみる

上肢

線維束性収縮

筋萎縮


出典:https://www.researchgate.net/figure/An-alcoholic-patient-with-muscle-atrophy_fig1_284498582

筋力(徒手筋力テスト:MMT)

検査者は、以下の動作を行う。

患者は加わる力に抵抗してもらう。

調べたい筋肉を収縮した体位にしてから、筋肉を伸ばす方向へ加わる力に対しての抵抗をみる。

すると、今どこの筋肉の筋力を見ているかがわかりやすい。

頚部屈曲・・・頚部を前屈させて前額を背中側に押す

頚部伸展・・・頚部を後屈させて後頭部を前方へ押す

三角筋・・・両方の上肢を90度側方に挙上させ、肘関節の近位部を上から押す


出典:https://www.youtube.com/watch?v=qkbEIxFyj0c

上腕二頭筋・・・肘関節を屈曲してもらい、伸展させる

上腕三頭筋・・・肘関節を伸展してもらい、屈曲させる

手根伸筋群(手関節の背屈)・・・手指を握り手関節を背屈してもらい、掌屈させる

手根屈筋群(手関節の掌屈)・・・手指を握り手関節を掌屈してもらい、背屈させる

母指対立筋・・・母指と小指を対立してもらう


出典:https://physioapproach.com/blog-entry-509.html

腸腰筋・・・膝を曲げたまま股関節を屈曲してもらい、大腿前面に手をあて、股関節を伸展させる

大腿四頭筋・・・膝を伸ばしてもらい、大腿の下に手を入れ支えて、足関節の近位部を押すことで膝を屈曲させる


出典:http://sukagawa-seitai.com/daitai4toukin/

大腿屈筋群(ハムストリング筋群)・・・膝関節を最大屈曲してもらい、膝関節を伸ばさせる。


出典:https://ameblo.jp/mizusimaseikotuin/entry-12363683716.html

前脛骨筋・・・足関節を背屈してもらい底屈させる


出典:https://sports-doctor93.com/tibialis-anterior/

下腿三頭筋(腓腹筋)・・・足関節を底屈してもらい背屈させる


出典:https://www.jinlab.jp/support/body_1sports_1exercise22.html

上肢バレー徴候

両手を前に伸ばして手掌を上にして指を揃えてもらう。閉眼を指示し、上腕が回内し、下がってきたら陽性。

ミンガッチーニ徴候

仰臥位で股関節と膝関節を90度屈曲させる。

下腿を水平に維持してもらい、下がってきたら陽性。

髄膜刺激徴候

項部硬直

仰臥位で枕をはずして、頸部の回旋や側屈の状態を確認する。

その後、ゆっくりと頭部を前屈させ、抵抗がないかをみる。

ケルニッヒ徴候

股関節と膝関節を90度屈曲させた状態から、膝関節を伸展させる。

抵抗があって十分に伸展できないとき陽性。

脊柱

ラゼーグ徴候

仰臥位で下肢を伸展したまま、挙上する。

下肢に疼痛があり、挙上できない時陽性。

馬尾、神経根、坐骨神経の障害を示す所見。

頚部でのスパーリング徴候と同様に神経根症状を示す。

スパーリングテストの下肢版か。

起立・歩行

ロンベルク徴候

つま先を揃えて立たせて、開眼状態で動揺がないか観察。

その後、閉眼させて、体幹の動揺が見られたら異常とする。

マン試験

両足を一直線上に縦にずらして立たせて、体幹の動揺がないかをみる。


出典:https://blogs.yahoo.co.jp/gdmfd345/8394817.html

 

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