免疫性血小板減少性紫斑病と血栓性血小板減少性紫斑病の違い
免疫性血小板減少性紫斑病(急性型) | 免疫性血小板減少性紫斑病(慢性型) | 血栓性血小板減少性紫斑病 | 溶血性尿毒症症候群 | |
英語 | ITP | TTP | HUS | |
病態 | 自己抗体により、血小板が破壊され、血小板減少による出血傾向をきたす | ADAMTS13の活性低下により、血小板血栓ができて、血小板が減少する | 腸管出血性大腸菌感染症のベロ毒素が原因でサイトカインにより血小板血栓ができる | |
誘発 | ウイルスによる先行感染後 | なし | 腸管出血性大腸菌感染症 | |
好発年齢 | 幼児(5歳以下) | 成人: 20~40歳 60~80歳 | 若年女性 | 乳幼児 |
原因 | 血小板の自己抗体 | 血小板の自己抗体 | ADAMTS13の自己抗体 | ベロ毒素 |
症状 鑑別ポイント! | 出血傾向 発熱(先行感染による) | 出血傾向 貧血(出血による) | 血小板減少 溶血性貧血 腎障害 + 発熱(なぜ?) 動揺する精神症状 | 血小板減少 溶血性貧血 腎障害 |
貧血の原因 | 血小板減少による出血 | 血小板血栓による溶血性貧血 | 血小板血栓による溶血性貧血 | |
骨髄塗抹 | 巨核球↑ | 巨核球↑ | ||
破砕赤血球(末梢血塗抹) | – | – | 破砕赤血球あり 出典:106D42 | 破砕赤血球あり |
診断 | O抗原凝集抗体+ 抗志賀毒素抗体+ | |||
治療 | 血小板3万以上で出血症状なし: 経過観察 血小板2万未満、重篤な出血症状あり: ピロリ菌除菌 ステロイド(除菌無効例) 脾摘(ステロイド無効、副作用が強い場合) 緊急時: 免疫グロブリン大量静注療法(抗体の作用減弱) ステロイドパルス(自己免疫が原因だから) | 1st:血漿交換(ADAMTS13の自己抗体除去) 副腎皮質ステロイド:自己免疫が原因だから 新鮮凍結血漿 | 支持療法: 透析療法(急性腎不全に対して) 輸血(貧血に対して) |
どちらも血小板が減少することは共通している。
しかし、ITPは自己抗体により直接血小板が破壊されるのに対して、TTPはvon willbrand因子の活性低下でできた血小板血栓に赤血球がぶつかって破壊されるのが原因。
TTPは血栓ができることが主な病態で、腎障害や溶血性貧血、精神症状など様々な症状をきたすのが特徴。
一方、ITPは自己免疫による血小板破壊だけなので、症状は血小板減少による出血傾向だけ。
どちらも血小板が減少するので、代償的に骨髄での巨核球は増加するので、骨髄所見では鑑別できない。
主な鑑別は臨床症状となるので、症状を覚える。
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