目次
CO2ナルコーシスの病態
呼吸調節を行う化学受容体は中枢受容体と末梢受容体の2つがある。
中枢受容体ではCO2上昇により呼吸刺激が入る。一方、末梢受容体ではO2低下により呼吸刺激が入る。
通常、中枢受容体により呼吸調節が行われている。
しかし、COPDなどのⅡ型呼吸不全では慢性的にCO2が高いので、中枢受容体ではなく末梢受容体で呼吸調節が行われるようになり、低酸素刺激に呼吸調節が行われる。
この状態で高濃度の酸素を投与すると、末梢受容体が刺激されなくなり呼吸抑制が起こる。
その結果、さらにCO2が貯留する。
CO2蓄積によって、意識障害、頭痛、羽ばたき振戦などの中枢神経症状をきたす。
CO2ナルコーシスの病態まとめ
2型呼吸不全の患者は二酸化炭素の増加による刺激ではなく、低酸素刺激により呼吸刺激が入る
↓
高濃度酸素の投与により低酸素でなくなる
↓
呼吸刺激が入らなくなり呼吸抑制となる
↓
高二酸化炭素血症
↓
意識障害
※CO2ナルコーシス(昏睡)の由来は高CO2血症による意識障害による
羽ばたき振戦の動画はこちら。
CO2ナルコーシスの症状
・自発呼吸の減弱
・意識障害
・呼吸性アシドーシス
高CO2血症により、意識障害や自発呼吸の抑制などの中枢神経症状をきたす。
また、高CO2血症により、呼吸性アシドーシスとなる。
また、高濃度酸素投与により、低酸素が是正されることで、低酸素による呼吸刺激が入らなくなり、呼吸抑制となった結果、自発呼吸が減弱する。
CO2ナルコーシスの原因
・慢性の2型呼吸不全患者への高濃度酸素投与
・感染症合併による2型呼吸不全の増悪
2型呼吸不全の原因は、呼吸中枢の抑制、呼吸筋、肺、胸郭障害による肺胞低換気。
COPDや気管支喘息といった肺疾患も原因となる。
肺胞低換気とは、肺胞内の空気と外気の入れ替えが十分にできないというもの。
CO2ナルコーシスの診断
血ガス:PaCO2上昇
呼吸抑制により、さらなるCO2の貯留をきたしているので、血液ガスにより診断できる。
CO2ナルコーシスの治療
低酸素血症の改善が最重要!
自発呼吸が停止しても人工換気を行えば回復するが、低酸素血症による脳障害は不可逆だから、自発呼吸停止を恐れて酸素投与を控えてはいけない!
・低流量酸素の投与(0.5L/min)
目標はPaO2 60Torr以上、SpO2 90%以上とし、呼吸不全の定義を満たさない程度とする
低酸素血症が改善しない場合:
・酸素投与+NPPV
自発呼吸が停止した場合
気管挿管し人工換気
人工換気でCO2を排出する。
急激にCO2を排出すると代謝性アルカローシスとなるので、少しずつ。
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以下は参考
予防
2型呼吸不全の患者に高濃度酸素投与を避けることで予防可能です。
SpO2の目安は90%程度をキープするように管理する。
※呼吸不全の定義がSpO2<90%
治療
原疾患の治療と共に、NPPV(非侵襲的陽圧換気)やIPPVで人口呼吸管理を行います。
※肺胞低換気を是正しPaCO2を下げるためだと考えられる
NPPVが行われることが多いとのこと。
やはりNPPVは非侵襲的であるからだと考える。
NPPV:nonivasive positive pressure ventilation
IPPV:invasive positive pressure ventilation
血液ガスを測定し、低酸素血症があれば、酸素投与を考慮する。
SpO2の目安は90%程度を目標に管理。
※呼吸不全の定義:SpO2<90%より
呼吸抑制を避けるため、低流量酸素から開始する。
CO2ナルコーシスでは、呼吸抑制が起こるため、陽圧換気により強制的に換気を促すことで改善が期待できると考える。
PaCO2の改善のためにNPPVを使う場合は酸素を入れないが、低酸素血症を伴う場合は、酸素を投与するということだと考える。
NPPVとIPPVの違い
NPPV:noninvasive positive pressure ventilation 非侵襲的陽圧換気とは?
出典:https://www.medwatch.jp/?p=24780
NPPVとは、気管チューブなしで侵襲性のないマスクやヘルメットを用いて人工呼吸を行う方法です。
IPPV:invasive positive pressure ventilation 侵襲的陽圧換気
気管挿管などのような侵襲性のある人工呼吸のことです。
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