呼吸器内科

胸部X線の読み方|仕組みから読影の手順までまとめ

胸部X線の読み方を仕組みから読影の手順まで徹底的にまとめます。

医学生や研修医レベルの初心者向けの内容ですから、正面像を正しく読影できるを目標に必要な知識をまとめていきたいと思います。

完全に自分のために、まとめていますが、胸部X線の読み方を勉強する方の参考になれば嬉しいです。

胸部X線の仕組みは?


出典:https://jata.or.jp/rit/rj/nakap.htm

胸部X線は、X線照射装置とフィルムの間に人間の体を配置して、X線を照射することで撮影される

後ろ(posterior)から前(anterior)に向かって照射するPA像が一般的

X線照射装置からでたX線が体を通るとき、骨、脂肪、水などの組織の違いによって透過性が異なる

そのため、フィルムに白黒の陰影ができる

覚えること

・X線はフィルムを黒く変色させる

・骨などの密度の高いものに遮られた部分は変色しないため白くうつる

・空気などの密度が低いものは、X線を遮らないので、黒く変色してうつる

組織ごとのX線の透過度は?

X線を読むためには、組織ごとの透過度の高さを覚える必要がある

覚えること

組織のX線透過度 うつる色 組織や物体の例
高い 空気、脂肪
灰色 水、軟部組織
低い 骨、石灰化、造影剤

出典:慶應義塾大学病院 単純X線を参考に作成

空気は密度がゼロなので、透過度が高いというのは納得いくだろう

また、脂肪は全身にあり、女性の胸は脂肪でできているのに胸部X線がとれるのは、脂肪の透過性が高いからだと理解できる

一方、石灰化、骨、造影剤が白く映るのは、Ca、Baなどの原子番号の大きい原子からできているのも原因の一つとなる

胸部X線を読むために必要な知識

シルエットサインとは?

境界線 シルエットサイン 意味
見えない・ペタッとしてる 陽性 臓器と接している
見える 陰性 臓器と接していない

シルエットサインとは、臓器や腫瘍などが接することで境界線が消える現象のこと

例えば、陰影が心臓と隣接していて、シルエットサイン陽性となっている場合は、陰影の原因となる腫瘤は心臓と接していると考えられる

このように、シルエットサインから腫瘍などの位置を推定することができる

通常の胸部X線では、臓器と臓器の間に境界線が見える

境界線が見えることは、シルエットサイン陰性となる

シルエットサイン陰性の例がこちら。


出典:http://etrt.sakura.ne.jp/23hmc.htm

一方、腫瘍などが臓器と接すると、臓器同士の境界線がなくなってしまう

この現象をシルエットサイン陽性という

シルエットサイン陽性の例がこちら


出典:胸部単純写真の読影2008

臓器同士の境界線が見えなくなる →シルエットサイン陽性

臓器同士の境界線が見える    →シルエットサイン陰性

シルエットという意味から、境界が消えてペタッとしたものがシルエットであると考えると、境界線が見えなくなる=シルエットサイン陽性であると判断できる

肺野の読み方


出典:胸部X線写真でわかること

X線における肺野の名称は5つにわかれると覚える。

それぞれの名称と意味する内容も把握する。

覚えること

鎖骨より上
肺野 鎖骨から肺門部(鎖骨から第2肋骨の間)
肺野 肺門部の高さ(第2〜4肋骨の間)
肺野 肺門部から下(第4肋骨から下)
肺門部 肺門の周囲

※肺尖野だけ真ん中に文字がくる

肺野の呼び方を覚えることで他の医療者に円滑に情報を伝えることができます。

「下肺野に腫瘤影あり」というようにね。

肺野の呼び方を確実におさえておきましょう。

覚え方としては、まず肺は肺尖野、上肺野、中肺野、下肺野の4つにわかれると覚えます。

その分かれ目が、上から鎖骨、肺門部上端、肺門部下端であると覚えるのです。

すると、容易に4つの肺の領域を区別することができるでしょう。

中肺野が、第2〜4肋間であると覚えるのもいいです。

胸部X線の弓とは?


出典:胸部X線写真でわかること

縦隔のどの臓器が胸部X線ではどのように映るのかを知っておくことが大切です。

左第1〜4弓、右第1、2弓は覚えておきましょう。

弓とは、胸部X線で弓型に見える影のことです。

上から順番に、左は、左第1弓、左第2弓、左第3弓、左第4弓。

右は、右第1弓、右第2弓と呼ばれています。

それぞれの弓がどの臓器の輪郭であるかは以下の通りです。

右第1弓 上大静脈
右第2弓 右心房
※右心室は下にくるので、弓としてはうつらない
左第1弓 大動脈弓
左第2弓 肺動脈
左第3弓 左心耳
左第4弓 左心室

まずは右が2まで、左が4まであると覚える。

後は、解剖に照らし合わせれば覚えられる。

胸部X線を正しく読むための3つのポイント

1.以前の胸部X線と比較する

以前の胸部X線と比較して読影するのが大切です。

以前のものと比較読影することのメリットは以下の通り。

・病勢の悪化、改善が判断できる

・すでに異常がある場合でも、新たな異常を見つけやすい

・わずかな異常でも見つけやすい

胸部X線を以前のものと比較し、変化を見ることで、新たな異常、わずかな異常を見つけやすくなる上、病気の悪化や改善を判断することができます。

なので、胸部X線を読影する際に、過去の胸部X線があれば必ず比較してみましょう。

2.胸部X線は毎回決まった順番で読影する

毎回ルーチンとして、同じ順番で読影することで以下のようなメリットがあります。

・部位の読み忘れや見逃しがなくなる

・正常像が覚えられる

・読むスピードが上がる

毎回、同じパターンで読影することで、体で覚えてしまうと、見逃しがなくなり、正常像が覚えられ、読むスピードが上がります。

まさに、良いことしかありません。

胸部X線を読むときは、必ず自分のパターンを持って読むと良いでしょう。

3.シルエットサインを見る

シルエットサインは胸部X線を読む上でとても大切な情報になります。

シルエットサインが消えるということは、臓器と接する異常なものがあるということです。

必ずシルエットサインがあるかどうかは胸部X線の読影では常に意識すべきポイントであるといえるでしょう。

疾患ごとの胸部X線と胸部CTの特徴

疾患ごとの胸部X線と胸部CTの特徴をまとめていく

目標は、疾患名から胸部X線と胸部CTの所見が言えること

胸部CT用語の定義まとめ

以下の用語は説明できるようにする

小葉中心/辺縁性


出典:http://iwatect.sakura.ne.jp/14kai%20kiso%20higasi.pdf

小葉中心性:
・気管支肺動脈束の主体の変化
・病変の強い部分は周囲の肺野に高吸収域が見られる

小葉辺縁性:
・気管支肺動脈束と小葉辺縁構造の両者に腫大や結節が見られる

肺野の中心部に主に病変があれば、小葉中心性。

肺野の中心部にも病変があるが、肺野の辺縁にも病変があれば、小葉辺縁性となると考えられる。

粒状影・結節影・腫瘤影

陰影は大きさによって名称が変わる。

粒状影 〜5mm
結節影 6〜29mm
腫瘤影 30mm〜

粒状影は粒だから1番小さい、腫瘤はこぶだから大きい。

結節はその間と覚える。

気管支拡張・血管拡張

気管支拡張の定義:
気管支の内径と並走する肺動脈径を比較して、気管支の内径が肺動脈径より大きい

浸潤影・すりガラス影


出典:https://pulmonary.exblog.jp/20876254/

浸潤影(コンソリデーション:consolidation):
・真っ白でベタ塗り
・背景の血管が不明瞭

スリガラス影:
・うっすら白塗り
・背景の血管構造がわかる

airbronchogram(気管支透亮像)

airbronchogram(気管支透亮像):
・白くべったりした陰影の中に見える黒くて細い帯

肺胞内には水が滲出していているが、気管支内には空気が残っていることがわかる。

広義間質の肥厚

気管支壁肥厚

縦隔リンパ節

牽引性気管支拡張

蜂巣肺

参考:胸部Ct読影 アートのための準備運動 slide share用

正常の胸部CT

比較のために正常像を置いておく


出典:https://www.harasanshin.or.jp/kenshin/kokyuki_dock.html

びまん性汎細気管支炎


出典:http://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/_diffuse_panbronchiolitisdpb.html

胸部CT所見
・両肺にびまん性に小葉中心性粒状影
・気管支拡張像
・肺野の過膨張

気管支拡張の定義は、気管支の内径と並走する肺動脈径を比較して、気管支の内径が肺動脈径より大きければ気管支拡張があるとなっている。

そのため、上記CTで気管支の内径と肺動脈径を比較すると、気管支内径の方が大きいので、気管支拡張があると判断できる。

小葉の辺縁構造には病変はなく、気管支肺動脈束の付近主体に小さな陰影が見られるため、小葉中心性粒状影であると考える。

胸部 CT で気管支の内径と並走する肺動脈径の比(bronchoarterial ratio)が 1 を超
えれば気管支拡張があると判断する

出典:http://www2.nms.ac.jp/jmanms/pdf/014020072.pdf

気管支拡張症


出典:http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=38

胸部CT所見
・気管支拡張

 

 

気胸:肺野透過性亢進

肺サルコドーシス:両側肺門リンパ節腫大

気管支喘息:肺の過膨張、心陰影の縮小

COPD:肺の過膨張、横隔膜平坦化、滴状心

胸水貯留:CP angle鈍

無気肺

特発性肺線維症:蜂巣肺

見逃しやすいポイント

心臓に重なる陰影


出典:https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_qa/9784758115575_2a.html

心臓に重なる陰影は見逃しやすいので、注意する。

 

参考文献

胸部X線写真でわかること

胸部X線・CTの読み方やさしくやさしく教えます! 羊土社 中島啓 著

 

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