循環器内科

心不全でなぜBNP高値となる?重症度、基準値は?

心不全でなぜBNP高値となるのか、基準値や重症度、カットオフ値について調べてみました。

BNP(脳性ナトリウム利尿ベプチド)とは?

BNPとは、脳性ナトリウム利尿ペプチドのことです

BNPには利尿作用があり、水やナトリウムの排出を促進します

また、血管拡張作用により血圧を低下させるのです

これらの作用により、心臓への前負荷や後負荷が減少し、心不全の症状が改善されます

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といっても、このような代償作用には限度がありますので重症の場合は、心不全の症状が現れることになるのです

心不全でBNP高値になる仕組みは?

BNPは、心室に負荷がかかると心室から血中に放出されるホルモンです。

心室にかかる負荷が大きくなればなるほど、分泌が亢進します。

心不全とは、前負荷や後負荷が増加することで心室に負荷がかかって生じる病態のことですよね。

なので、心不全では、BNPが大きく増加するのです。

心不全のBNPの診断基準や重症度は?

BNPの基準値は、18.4pg/dl未満です

心不全になると、BNPが著しく上昇し、重症になると500pg/dl以上になることもあります

BNP値と日常診療上の評価

心疾患の有無 心不全の重症度 専門医による
診察・治療
18.4pg/dl未満 基準値 どちらとも
言えない
慢性の心不全はない 場合によっては必要
40pg/dl以上~
100pg/dl未満
要観察 どちらとも
言えない
慢性の心不全による症状は
ないことが多い
場合によっては必要
100pg/dl以上~
200pg/dl未満
要精査・要治療 心疾患あり 多くは無症状の心不全 一度はあった
ほうがよい
200pg/dl以上~
500pg/dl未満
専門医による
治療が必要
心疾患あり 心不全の可能性あり 専門医による
治療が必要
500pg/dl以上 厳重な治療が
必要
心疾患あり 重症心不全 入院も含めて厳重な
治療が必要

引用:心不全とBNP検査

基準値はこのようになっていますが、実際臨床では、どのようなカットオフ値がどのように診断に使われているのでしょうか?

心不全におけるBNPのカットオフ値は?

東京医科大学救急医学のサイトによると以下のように書かれています

救急外来で呼吸困難症例1586例に対しBNPを用いて検討した臨床研究があります[30]。2名の専門医が身体所見+レントゲン+エコーで行った最終的な診断は、(a)心不全47%、(b)左心機能低下はあるが非心不全5%、(c)非心不全=49%、だったようです。ここでBNPの平均値はそれぞれのカテゴリーで有意差があり、(a)675 pg/ml、(b)346pg/ml、(c)110pg/mlでした。BNP値100 pg/mlをカットオフポイントとすると、感度90%、特異度76%、予想適中率83%となり、NHANES and Framinghamのクライテリアを凌駕する診断価値を持つと結論されています。

他の報告でも、呼吸困難の患者をBNP>100 pg/mlで診断したグループと従来の臨床所見から診断したグループを比較しています[31]。これによると前者と後者それぞれの感度=90%vs49%、特異度73%vs96%となっており、結果、BNP診断と従来の臨床診断を組み合わせることにより、診断正確性が74%から81%に上昇することになると結論付けられています。

出展:BNPの測定に関して

つまり、カットオフポイントをBNP値100 pg/mlとすると、感度90%と精度の高い診断が行えるということでしょう

ただ、実際に臨床でどのように使うかというと、心不全の除外診断として使うということです

あくまでBNPは他の診断手段に付け加えた検討項目とするべきです。BNPが高値だからといってもただの心不全ではなく、肺炎なども合併している可能性は十分に考慮しなければなりません[29]。やはりBNPの利用価値としては、心不全の除外診断としてBNP<100 pg/mLを用いるのが最も合理的だと思われます。

出展:BNPの測定に関して

感度90%ということは、心不全の患者のBNPが100 pg/mLより小さいと90%という高い確率で心不全でないといえるということ

よって、心不全ではないと心不全を除外できるということなのでしょう

もちろん、他の身体所見と合わせて検討して診断を下さなければいけないのはいうまでもありません

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